2019年11月27日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「香港人権・民主主義法」に署名し、同法が正式に成立しました。この法律は、自由を求めて戦う香港の市民を後押しするもので、香港に認められている「一国二制度」という特別な仕組みが維持されているかを、アメリカ政府が毎年チェックすることを義務付けています。
ここで言う「一国二制度」とは、中国という一つの国の中にありながら、香港には資本主義や高度な自治権を認めるという約束事です。もしこの自治が損なわれていると判断されれば、アメリカが香港に与えてきた関税の優遇措置などが撤廃される可能性もあり、経済的な影響は計り知れません。
中国の猛反発とSNSで広がる不安の声
これに対し、中国政府は2019年11月28日に声明を出し、「明白な覇権主義であり、重大な内政干渉だ」と激しく非難しました。SNS上では「ついに署名されたか」「米中貿易交渉はどうなるんだ?」といった先行きの不透明さを懸念する声や、「香港の若者たちにとっては希望の光になる」といった多様な意見が飛び交っています。
中国側は、アメリカがこのまま強気な姿勢を崩さないのであれば、必ず報復措置をとると警告しており、一切の責任はアメリカ側にあると強調しています。折しも米中は、農産物の購入拡大などを盛り込んだ「第1段階の合意」に向けて交渉の真っ只中にあり、今回の件が大きな障害になることは避けられないでしょう。
大統領選と国内事情に揺れるトランプ氏の決断
トランプ氏は署名に際して「習近平国家主席と香港市民への敬意」を口にし、平和的な解決を望む姿勢を見せました。しかし、本音では2020年の大統領選挙に向けた成果として貿易合意を急ぎたいはずです。それにもかかわらず署名に至ったのは、議会で圧倒的な賛成多数を得ていたこの法案に対し、拒否権を発動して身内の共和党から反発を買うリスクを避けたかったからだと分析されます。
編集者としての私見ですが、今回の署名は人道的な正義と政治的な駆け引きの狭間で下された、極めて際どい判断だと感じます。人権を守るという大義名分は素晴らしいものですが、それが経済冷戦を加速させ、結果として世界中のマーケットを冷え込ませてしまっては元も子もありません。両国には感情的な対立を超えた、冷静な落とし所を見つけてほしいと願うばかりです。
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