経済産業省が2019年11月28日に発表した10月の商業動態統計によれば、国内の小売販売額は前年同月比で7.1%という大幅な減少を記録しました。販売総額は11兆900億円にとどまり、好調だった9月から一転して3カ月ぶりのマイナス成長に沈んでいます。この急激な冷え込みの背景には、消費増税前の駆け込み需要に対する反動と、甚大な被害をもたらした台風19号の影響が色濃く反映されていると言えるでしょう。
SNS上では「増税後に買い物を控えるのは当然」という冷ややかな声がある一方で、「台風で店舗が休業していたから数字が落ちるのは仕方ない」といった同情的な意見も目立ちます。前回の増税直後である2014年4月の下落幅が4.3%であったことを踏まえると、今回の7.1%という数字は非常にショッキングなものです。経産省も、消費者が買い物を先に済ませた「需要の先食い」と、被災による心理的な落ち込みを深刻に捉えています。
主力産業の苦戦と百貨店の冷え込み
業種別に見ると、特に高額商品の落ち込みが顕著となっています。自動車小売業は前年同月比17.0%減と大きく数字を落とし、普通車や小型車の販売が振るいませんでした。また、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電を含む「機械器具小売業」も15.0%減と低迷しています。これらは増税前に購入を済ませる「駆け込み需要」の対象になりやすいため、その後の反動は避けられなかったというのが私の正直な分析です。
さらに深刻なのが百貨店業界で、販売額は17.3%減という記録的なマイナスを記録しました。高額商品の反動減に加え、2019年10月は気温が高い日が続いたことで、本来売れるはずの秋冬衣料の動きが鈍かったことも大きな要因です。加えて、韓国からの訪日観光客減少によるインバウンド需要の減退も影を落としています。多くの負の要因が重なり、百貨店にとってはまさに「耐え忍ぶ秋」となってしまいました。
コンビニに見るキャッシュレスの光
一方で、厳しい情勢の中でも唯一の希望を見せているのがコンビニエンスストアです。全業態が軒並みマイナスを記録する中で、コンビニの販売額は3.3%の増加を達成しました。これには2018年10月のたばこ税増税による反動もありますが、何より注目すべきは、2019年10月1日からスタートした「キャッシュレス・ポイント還元事業」の効果が如実に表れている点です。
大手各社が即時還元の対応を強化したことで、現金派からキャッシュレス派へ乗り換える消費者が急増しています。経産省の分析でも、支払い比率の変化が売り上げを底上げしたとされており、利便性の向上が消費を繋ぎ止める重要な鍵となるでしょう。逆境の中でいかに新しいライフスタイルを提示できるかが、今後の小売業界の明暗を分ける分岐点になると私は確信しています。
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