2019年11月12日、中国全土が熱狂に包まれた巨大ネット通販セール「独身の日」が幕を閉じました。最大手のアリババ集団が叩き出した取扱高は、なんと2684億元(約4兆1000億円)という驚異的な過去最高額を更新しています。わずか1日でこれほどの巨費が動く光景は、もはや中国の圧倒的な購買力を象徴する恒例行事と言えるでしょう。
SNS上では、日付が変わる瞬間に注文を確定させる「争奪戦」の様子や、爆買いした商品の山をアップする投稿が相次ぎ、お祭りのような盛り上がりを見せていました。ネット上では「もはや国家予算レベルの買い物だ」といった驚きの声が溢れ、消費者のボルテージは最高潮に達した模様です。
特筆すべきは、国別の輸入品売上ランキングにおいて、我が国・日本が堂々の第1位に輝いたことでしょう。2位の米国や3位の韓国を抑えての首位獲得は、日本製品に対する品質への信頼がいかに根強いかを物語っています。資生堂などの大手ブランドと協力し、100万点もの新作を投入したアリババの戦略が、見事に中国の消費者の心を射止めたようです。
日本ブランドの躍進と新興勢力の猛追
ブランド別の動向を紐解くと、美容家電のヤーマンや、日用品で信頼の厚い花王、ユニ・チャームの「ムーニー」といった3ブランドがトップ10に食い込みました。また、取扱高が10億元を突破した超勝ち組ブランドには、米アップルやファーウェイといったハイテク巨頭に並び、ユニクロを展開するファーストリテイリングが名を連ねています。
一方で、業界2位の京東集団(JDドットコム)も取扱高2044億元を記録し、地方や農村部での需要を掘り起こすことで過去最高を更新しました。さらに、新興勢力の「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」は、最新のiPhone 11を他社より700元も安く販売するなど、圧倒的な低価格を武器に市場を揺るがしています。
ここで注目したい専門用語が「需要の先食い」です。これは本来なら12月や翌年に購入されるはずの物品を、セールの安さに惹かれて今買ってしまう現象を指します。景気減速の影が忍び寄る中国において、各社が展開する破格の値下げ競争は、まさに将来の消費を今この瞬間に吸い上げているような危うさを孕んでいるのではないでしょうか。
アリババの成長率は前年比25%増と高い水準を維持していますが、昨年の26%増からは微減しており、爆発的な伸びには陰りも見え始めています。毎月のように開催されるセールに、賢明な消費者が「飽き」を感じ始めているのも事実です。来年以降、単なる価格破壊ではない、新たな価値をいかに提供できるかが、各社の生き残りを懸けた課題となるでしょう。
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