中国の巨大ECサイトが仕掛ける、世界最大のショッピングイベント「独身の日」が、2019年11月12日の深夜に熱狂のなか幕を閉じました。この一大イベントを牽引するアリババ集団は、わずか24時間で2684億元、日本円にして約4兆1000億円という、天文学的な取扱高を叩き出したのです。この「取扱高」とは、期間中にプラットフォーム上で取引された商品の総額を指し、一企業の売上を遥かに超える経済圏の大きさを物語っています。
創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が経営の第一線から退き、新体制で挑んだ初めてのセールでしたが、結果は見事な成功と言えるでしょう。前年比での成長率は25%を記録しており、2018年11月11日の26%という数字に肉薄する勢いを維持しました。ネット通販部門を率いる蒋凡氏は、多くの新商品をこの日のために特別に用意したことが、消費者の購買意欲を刺激したと手応えを感じている様子です。
SNS上では、深夜0時のスタートと同時に注文が殺到する様子に「秒単位で億単位の金が動くのが恐ろしい」「中国の消費パワーは別次元だ」といった驚嘆の声が相次いでいます。一方で、これほどの大規模なイベントでありながら成長率が微減した点に注目し、市場の飽和を懸念する意見も見受けられました。これだけの規模に膨れ上がれば、爆発的な伸びを継続することがいかに困難であるかは想像に難くありません。
巨大セールが直面する岐路と新たな成長戦略
順風満帆に見える独身の日ですが、毎年のように記録を更新し続ける魔法が、少しずつ解け始めているという見方も存在します。以前のような右肩上がりの急成長には陰りが見えており、今後の舵取りが重要になるでしょう。私は、単なる値引き合戦のフェーズは終わり、これからは商品の質や、ライブコマースのような新しい体験価値を提供できるかが、さらなる成長の鍵を握ると確信しています。
今回の結果は、中国国内の消費底力が依然として強固であることを世界に知らしめる象徴的な出来事となりました。米中貿易摩擦などの外的な要因に振り回されず、内需の力でこれだけの数字を積み上げた点は、驚異的と言わざるを得ません。独身の日は、今や単なるセールの枠を超え、最新の物流システムや決済技術が試される、IT大国・中国の技術見本市としての側面も強めているのです。
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