2008年に世界中を震撼させたリーマン・ショックは、私たちの経済観を根底から覆す出来事でした。あれから10年以上の月日が流れた2019年11月30日現在、当時の混乱を描いた物語は数多く存在しますが、その後の銀行がどのような道を歩んできたのかを冷静に分析した資料は、意外にも多くありません。
そんな情報の空白を埋めてくれるのが、ディスカヴァー・トゥエンティワンから出版された若奈さとみ氏の著書『巨大銀行のカルテ』です。本書は、かつての危機を乗り越えた世界の金融機関が、今まさにどのような健康状態にあるのかを、専門的な視点から鋭く診断しています。
金融のプロが読み解く、メガバンクの舞台裏と経営者の素顔
著者の若奈氏は、実際に金融機関や格付け会社でキャリアを積んできた、いわば現場を知り尽くしたスペシャリストです。格付け会社とは、企業や政府の発行する債券の信頼度を「AAA」などの記号で評価する機関のことで、投資家にとっての羅針盤のような役割を担っています。
本書では、経営難が囁かれるドイツ銀行やフランスの雄であるBNPパリバ、そして圧倒的な規模を誇るアメリカの4大銀行の近況を、膨大なデータを用いて丁寧に紐解いています。数字の羅列に留まらず、舵取りを担う経営者たちの人間味あふれるエピソードが盛り込まれている点も、読者を飽きさせない大きな魅力でしょう。
SNS上では「難しい専門用語が並ぶ金融本かと思いきや、物語のように引き込まれた」「今の世界経済がどう動いているのか、この一冊で整理できた」といった驚きと称賛の声が広がっています。金融の入門書としても非常に優秀で、知的好奇心を刺激される内容に仕上がっていると言えるでしょう。
私個人の意見としては、AIやフィンテックが台頭する2019年現在の変革期において、伝統的な巨大銀行の動向を知ることは、ビジネスマンにとって必須の教養だと感じます。数字の背後にある「人の意志」に光を当てた本書は、私たちが未来を予測するための貴重なカルテとなるに違いありません。
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