煌びやかな超高層ビルが立ち並び、砂漠の中に突如として現れた未来都市ドバイ。世界を震撼させた「ドバイ・ショック」から、2019年11月25日でちょうど10年の節目を迎えました。当時の危機を乗り越え、目覚ましい復興を遂げたかのように見えるこの街ですが、足元では再び不動産市場に暗雲が立ち込めています。
2009年に発生したドバイ・ショックとは、政府系企業が巨額の債務支払いを延期すると発表し、世界中の金融市場に混乱を招いた事態を指します。いわば、新興国版の「支払い猶予(モラトリアム)」要請でした。この10年、隣国アブダビの支援を受けて成長軌道に戻ったものの、現在の状況は決して楽観視できるものではないでしょう。
「3Tモデル」の光と影、不動産過剰のジレンマ
ドバイの成長を支えてきたのは、貿易、観光、運輸の頭文字を取った「3Tモデル」です。資源に頼らず中東のハブへと進化を遂げた姿は、周辺国の手本とされてきました。しかし、この成功が不動産への過度な依存を招いた側面も否定できません。豪華な摩天楼が並ぶ裏側では、供給過多という深刻な問題が膨らんでいるのです。
SNS上では、活気ある建設ラッシュの風景に驚く声が上がる一方で、「本当にこれほどの需要があるのか」と疑問視する冷静な意見も見受けられます。事実、2019年の実質成長率は2.4%に留まっており、急激な人口増加率と比較すれば、実体経済の停滞感は隠しようもありません。株価も2017年初めから25%ほど下落しており、市場は警戒を強めています。
さらに、2020年10月に開幕を控えるドバイ万博への期待が大きい反面、終了後の反動を懸念する声も絶えません。世界最大級を目指すマクトゥーム国際空港の工事が中断しているという報道は、まさにその象徴と言えるでしょう。不動産価格の低迷は、ドバイ経済の足場を揺るがす大きな要因となりつつあります。
不透明な経済指標と「脱石油」への遠い道のり
ドバイ経済を分析する上で障壁となっているのが、正確なデータの入手が困難な点です。地元メディアでは華やかな開発ニュースが踊るものの、実態を反映した数値は限定的だと言わざるを得ません。情報の透明性が低いままでは、かつてのように投資家の疑心暗鬼を招き、予期せぬ信用不安を再燃させるリスクを孕んでいます。
私は、ドバイが真の「脱石油」を実現するためには、箱物行政から脱却し、コスト競争力のある製造業やIT産業の育成が不可欠だと考えます。現在の株価が原油価格と連動している事実は、ドバイが依然として石油マネーに支えられていることを示唆しています。本当の意味での経済改革が今、改めて問われているのではないでしょうか。
10年前のような世界規模の危機に発展する可能性は低いと見られていますが、中東のモデルケースであるドバイの失速は、近隣諸国へも小さくない影響を及ぼすでしょう。かつてのショックの教訓を活かし、持続可能な発展へと舵を切れるのか。華やかなネオンの影で、ドバイは今、再び重大な岐路に立たされています。
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