米金融大手の決算に暗雲?投資銀行業務の苦境と利下げがもたらす新たな試練とは

2019年07月19日、ニューヨークから届いた米金融大手の2019年04月から06月期決算報告は、まさに光と影が交錯する内容となりました。JPモルガン・チェースなどが個人向け融資の好調を背景に最終増益を勝ち取った一方で、名門ゴールドマン・サックスは厳しい減益に見舞われています。世界経済の先行きに対する不安が、企業のダイナミックな動きを止めてしまっているようです。

SNS上では「ついにゴールドマンの牙城が崩れ始めたか」「景気後退の足音が聞こえる」といった、不安と驚きの声が広がっています。特に注目すべきは、投資銀行業務の失速でしょう。これは企業が合併や買収(M&A)を行う際のアドバイスや、新しい株式・債券を発行して資金を集めるのを手伝う業務を指しますが、この手数料収入が目に見えて減少しているのです。

ゴールドマン・サックスにおいては、この投資銀行業務による手数料が前年同期と比べて9%も落ち込み、モルガン・スタンレーに至っては13%という大幅な減少を記録しました。米調査会社ディールロジックのデータによれば、2019年01月から06月期の全世界におけるM&Aの総額は前年比で10%減、株式による資金調達額も2割減という寂しい数字が並んでいます。

モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマンCEOは、企業の動きに「波がある」と表現しましたが、その背景には米中貿易戦争などの不透明な国際情勢が影を落としています。経営者たちが慎重になり、リスクを取った投資を手控えている現状は、私から見ても非常に危うい兆候に感じられます。守りの姿勢に入った企業が多い中では、銀行も稼ぎ口を失ってしまうからです。

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金利の魔法が解ける?「利ざや」縮小が銀行経営を直撃

2019年07月から09月期以降についても、決して楽観は許されません。ゴールドマンのスティーブン・シャーCFOは、将来の利益に繋がる案件の積み上がり状況が、2019年03月末時点よりも少ないことを明かしました。景気が冷え込む中で、銀行の柱である「商業銀行業務」、つまり預金を預かって企業や個人に貸し出すビジネスにも試練が訪れようとしています。

ここで重要なキーワードとなるのが「利ざや」です。これは銀行が貸し出す時の金利と、預金者に支払う金利の差額のことで、銀行にとっての純粋な儲けを意味します。米連邦準備理事会(FRB)が景気の下支えのために利下げに踏み切れば、この利ざやが縮小してしまいます。2019年04月から06月期は貸出残高こそ増えましたが、すでに利益の幅は狭まりつつあるのです。

JPモルガンの例を見ると、貸出金利が2019年01月から03月期に比べて低下する一方で、預金金利は上昇するという「板挟み」の状態が起きています。これは政策金利との乖離を埋める動きと言えますが、銀行にとってはコストが増えることを意味します。市場では年内に複数回の利下げが行われるとの見方が強く、これが投資家たちの心理を冷やし、銀行株の重荷となっています。

私自身の見解としては、これまで米銀を支えてきた高金利環境という「追い風」が止まり、これからは実力が試される厳しい局面に入ったと感じます。利下げは一見、経済を活性化させる処方箋に見えますが、銀行の収益源を削るという副作用も併せ持っています。激動の2019年後半に向けて、金融界のエリートたちがどのような次の一手を打つのか、目が離せません。

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