テレビ番組でお馴染みの俳人、夏井いつきさんが語る意外な私生活が話題を呼んでいます。実は夏井さん、自他ともに認める「買い物嫌い」なのだそうです。ショッピングを楽しむ華やかなイメージとは裏腹に、日常の必需品すら自分で買いに行くのを億劫に感じるというから驚きですよね。2019年11月28日、夏井さんは自身の暮らしを支える家族への信頼と、そんな彼女が唯一「自ら進んで外へ出る理由」について明かしてくれました。
夏井さんのマネジメントを担う「夏井&カンパニー」は、家族で運営されている温かな組織です。社長を務める夫の通称ケンコーさんや、副社長である息子の嫁ヒサノさんに、夏井さんは絶大な信頼を寄せています。髪を留める道具が壊れれば鉛筆を簪代わりにするというワイルドな一面を見せる夏井さんに、ヒサノさんはすぐさま実用的なアイテムを探してきてくれるそうです。こうした周囲の献身的なサポートが、彼女の創作活動を支えているのでしょう。
SNSでは「鉛筆を簪にするセンスが最高に組長らしい」「信頼できるお嫁さんがいて羨ましい」といった共感の声が溢れています。宮沢賢治の詩を引用しながら「一日中パジャマで原稿を書き、少しの食料と酒があればいい」と語るその姿は、まさに表現者の鏡と言えるかもしれません。そんな出不精を自称する彼女が、重い腰を上げてでも向かう場所。それが、本屋さんと「温泉」です。
名湯・道後を抱く松山の地で、心身を解きほぐす朝の贅沢
夏井さんが暮らす愛媛県松山市は、日本最古の温泉とも称される道後温泉を筆頭に、至る所に名湯が点在する「温泉の街」として知られています。2019年11月28日の朝も、彼女はなじみの温泉へと足を運びました。朝6時から開く女風呂で、気心の知れた地元の高齢者たちと過ごす時間は、何物にも代えがたいリラックスタイム。青く澄んだ露天風呂で四肢を伸ばせば、多忙な日々で軋んでいた心と体が、ゆっくりと解けていくのを感じるそうです。
ここで彼女が目にしたのは、湯面に浮かぶ「冬蜂」の姿でした。冬蜂とは、厳しい寒さの中で体力を失い、動きが鈍くなった蜂のこと。冬の季語でもあります。溺れてしまったのか、あるいは温もりを求めたのか。濡れた羽が朝の光にキラキラと輝き、金色の腹がぷっくりと膨らんでいる様子を、夏井さんは鋭い観察眼で見つめます。この静かな時間こそが、俳句という新たな生命を吹き込む瞬間なのです。
温泉までの道のりすらも、彼女にとっては大切な「吟行(ぎんこう)」の場となります。吟行とは、野外を歩きながら景色や季節の移ろいに触れ、俳句を詠むこと。羊田(ひつじだ:収穫後の稲の根から再び芽が出た田)を吹き抜ける風や、川波に反射する冷たい太陽。五感で捉えた世界を句帳に書き留める作業は、彼女と外の世界を繋ぐ唯一無二の装置。俳句があるからこそ、夏井さんの日常はこれほどまでに色鮮やかに輝いているのです。
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