鉄鋼大手が「持ち合い株」1000億円超を売却へ!JFE・日鉄が挑む背水の資産圧縮と生き残り戦略

日本の基幹産業を支える鉄鋼メーカーがいま、かつてない大きな転換期を迎えています。2019年11月29日、業界大手のJFEホールディングスや日本製鉄が、保有する株式などの資産売却を急ピッチで進めていることが明らかになりました。特にJFEは、2021年3月31日までに1000億円を超える規模の保有株を売却する方針を打ち出しており、伝統的な「持ち合い株」の解消へ大きく舵を切っています。

SNS上では「ついに鉄鋼大手も本気で身を切り始めたか」「これまでのしがらみを捨ててでも資金が必要な状況なのだろう」といった驚きの声が上がっています。投資家の間でも、この大胆なキャッシュ確保の動きが将来の設備競争力にどう繋がるのか、固唾を呑んで見守っている状況です。かつては当たり前だった企業同士の「株の持ち合い」という慣習が、時代の荒波に揉まれて姿を消そうとしている様子が伺えます。

スポンサーリンク

なぜ今、巨額のキャッシュが必要なのか

鉄鋼各社が資産売却を急ぐ最大の理由は、老朽化した製鉄所の維持と、次世代への投資資金を確保するためです。鉄を溶かす「高炉」などの設備は、一度トラブルが起きれば巨額の損失に直結します。実際に2019年3月31日までの1年間には主要な製鉄所で不具合が相次ぎ、その対策費が経営を圧迫しました。厳しい事業環境の中でも、2020年3月期には前期比2割増の設備投資を計画しており、その原資として資産売却が不可欠となっているのです。

ここで注目すべきは「EBITDA(イービットディーエー)」という指標です。これは税金や利息を支払う前の利益に、減価償却費を足し戻したもので、企業が本来の事業でどれだけ稼ぐ力があるかを示します。JFEはこのEBITDAに対する負債の割合を抑制する目標を掲げていますが、足元では景気減速の影響もあり、目標値を上回る厳しい財務状況が続いています。借金に頼れない以上、手持ちの株を現金化するのは至極真っ当な判断と言えるでしょう。

一方、世界最大級の日本製鉄も、2021年3月期までに3000億円の資産売却を目指す計画をさらに上積みする構えです。インドの企業買収といった海外攻勢をかける一方で、国内では大型台風による設備被害という予期せぬ不運にも見舞われました。編集部としては、こうした「攻めと守り」の両輪を回すための資金捻出は、グローバル競争を勝ち抜くための「避けては通れない外科手術」であると感じています。

問われる「政策保有株」の存在意義

今回売却の対象となっているのは、主に「政策保有株(持ち合い株)」です。これは取引先との関係維持を目的に保有する株式ですが、近年では投資家から「資本効率が悪く、経営の透明性を損なう」との厳しい批判に晒されてきました。東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)でも、これらの縮減が強く求められています。つまり、外部からの圧力と社内の資金ニーズが、ちょうど一致したタイミングなのです。

鉄鋼業界は歴史が古いため、帳簿上の価格(簿価)が低い状態で数十年前から保有している株が多く、売却すれば多額の利益が出やすいという側面もあります。しかし、これは単なるお財布事情の解決に留まりません。海外投資家が厳しい視線を送る中、古い慣習を打破し、筋肉質な財務体質へ生まれ変われるかどうかの試金石となります。日本の鉄が再び世界で輝くためには、こうした資産の最適化こそが再生への第一歩になるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました