メディア業界の雄であるTBSホールディングスに対し、海を越えた米国から鋭いメスが入りました。2019年11月25日、アメリカの有力投資ファンドであるホワイトボックス・アドバイザーズが、TBSHDに対して政策保有株の売却を求める書簡を送付したことが明らかになったのです。この「政策保有株」とは、企業同士が取引関係の維持や友好のために持ち合う株式を指しますが、投資家からは資本効率を下げているとの指摘が絶えません。
今回、日本経済新聞の取材に応じたのは、ホワイトボックスのエクイティ部門を率いるサイモン・ワックスリー氏です。1999年に設立された同社は、約60億ドル、日本円にして約6500億円という膨大な資産を運用する実力派。彼らは世界中の厳選された約40社に投資を行っており、日本国内では京成電鉄などの株主としても名を連ねています。今回の動きは、まさに「物言う株主」による本気の改革提案といえるでしょう。
SNS上ではこのニュースに対し、「いよいよ日本の放送局も資本の論理と向き合う時が来た」「内部留保や持ち合い株の整理は時代の流れ」といった声が上がっています。TBSHDは東証株価指数であるTOPIX500にも含まれる優良企業ですが、ワックスリー氏は、同社の時価総額における政策保有株の割合が異常に高い点に注目しました。これらが適切に売却されれば、企業価値は劇的に向上すると彼は分析しています。
ワックスリー氏は、日本全体で加速しているコーポレートガバナンス、つまり「企業統治」の改革がTBSHDにも波及することを期待していました。しかし、現状の推移には不満を隠せないようです。企業統治とは、会社が株主の利益を損なわず、透明性の高い経営を行うための仕組みのことですが、古い慣習である株の持ち合いが、その透明性を阻害しているという厳しい視線が注がれています。
実は、TBSHDに対して売却を迫っているのは彼らだけではありません。別の海外ファンドも同様の要求を突きつけており、同社は今、多方面からのプレッシャーにさらされている状況です。これに対し、TBSHD側は「詳細についての回答は差し控える」とのコメントにとどめていますが、沈黙を守り続けるだけでこの荒波を乗り切れるのか、市場関係者の間では緊張感が走っています。
筆者の個人的な見解としては、放送局という公共性の高い事業であっても、資本市場に身を置く以上、グローバルな基準から逃れ続けることは難しいと感じます。政策保有株を解消し、得られた資金を次世代のコンテンツ制作やデジタル戦略に充てることこそが、視聴者にとっても株主にとっても最善の道ではないでしょうか。伝統あるTBSがどのような「攻めのガバナンス」を見せるのか、今後の動向から目が離せません。
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