2019年11月26日現在、国内の上場企業はまさに激動の渦中にあります。2020年3月期の通期決算は2期連続の減益となる見通しですが、決して悲観的なニュースばかりではありません。実は約650社もの企業が、2019年10月から2020年3月期の「下期」にかけて、前年を上回る利益を叩き出す「逆転劇」を計画しているのです。
SNSでは「景気後退かと思っていたけれど、ハイテク株に希望が見えた」といった前向きな反応や、「5GやEV関連の勢いは本物だ」という期待の声が広がっています。苦境に立たされた上期を乗り越え、企業がどのような巻き返しを狙っているのか、その具体的な戦略と明るい兆しについて、最新のランキングと共に深掘りしていきましょう。
5GとEVが追い風!ハイテク巨頭たちの強気な戦略
今回のランキングで特に目を引くのは、市況の底入れが期待される半導体や電子部品を手がけるハイテク企業です。9位の京セラと10位の日本電産は、それぞれ約400億円という巨額の増益を見込んでいます。京セラの武器は、次世代通信規格「5G」の普及です。スマホ向けに加え、高速通信に不可欠な「積層セラミックコンデンサー」の需要が爆発的に高まっています。
「積層セラミックコンデンサー」とは、電気を一時的に蓄え、ノイズを取り除く電子部品で、電子機器の心臓部を支える名脇役です。また、日本電産は電気自動車(EV)の駆動用モーター受注が急増しており、永守重信会長兼CEOが「生産能力が足りない」と語るほどの熱狂ぶりです。世界的な環境規制を背景に、EVシフトという大きな時代の波を確実に捉えています。
シャープもまた、米アップルの新型iPhone向け部品供給が好調で、収益性が改善しています。世界半導体市場統計(WSTS)によれば、2019年7月〜9月期の売上高は3四半期ぶりに1,000億ドルを突破しました。このデータは、長らく停滞していた半導体市場が「底を打った」ことを示唆しており、関連企業の業績がここから一気に跳ね上がる可能性を秘めています。
構造改革とDXがもたらす「稼ぐ力」の再生
製造業以外でも、自らの体質を変えることで増益を狙う企業が目立ちます。11位の富士通は、日本中で加速する「働き方改革」や生産性向上を目的としたシステム投資、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の需要を完璧に掴んでいます。その勢いは凄まじく、アナリストの予想が会社側の公式発表を上回るほど、市場からの信頼を集めています。
精密機器分野では、リコーが人員削減などの「構造改革」を断行し、利益を出しやすい体質へと生まれ変わっています。かつての価格競争から脱却し、不採算な仕事を断る勇気を持った経営判断は、高く評価されるべきでしょう。2019年10月以降、企業はただ売上を追うのではなく、いかに「質の高い利益」を確保するかにシフトしていることが伺えます。
一方、石油大手の出光興産やJXTGホールディングスも上位に食い込んでいます。米中貿易摩擦の影響で原油価格が下落し、通期予想こそ下方修正したものの、2019年4月〜9月期を「底」と断定しています。市況の回復を信じて耐え抜く姿勢は、エネルギーインフラを支える企業としての強かさを感じさせます。不透明な国際情勢の中でも、光を見出す力こそが日本企業の底力です。
業種別の明暗と今後の日本経済への期待
ランキング首位のみずほフィナンシャルグループや2位の日立製作所は、前期の巨額損失からの反動という特殊要因がありますが、全産業ベースで見れば下期は3%の増益と、回復の足取りは確かです。特に「電気機器」セクターは、上期の54%減益というどん底から、下期にはほぼ前年並みの水準まで戻る見通しで、V字回復の主役と言えるでしょう。
しかし、すべての業種が手放しで喜べるわけではありません。自動車分野では、トヨタ自動車のような強者が牽引する一方で、部品メーカーの日本精工が予想を下方修正するなど、厳しい現実に直面している企業もあります。また、銀行業の大幅増益を除けば非製造業は実質マイナス圏にあるなど、回復の度合いにはまだらに「濃淡」があるのが現状です。
編集者の視点として、今回のデータから感じるのは「技術力への回帰」です。一時期の停滞を脱し、5GやEVといった最先端分野で日本企業が再び存在感を示し始めていることは非常に喜ばしいことです。2020年3月期の着地に向けて、これらの企業が掲げる「巻き返しシナリオ」が、日本経済全体の景気を押し上げるエンジンになることを期待せずにはいられません。
コメント