台風19号の爪痕から立ち上がる地域鉄道|しなの鉄道全線再開と三陸鉄道・阿武隈急行の現在地

2019年10月に東日本を襲った台風19号は、各地の交通網に深刻なダメージをもたらしました。発災から約1ヶ月が経過した2019年11月18日現在、被災した地域鉄道は懸命な復旧作業を続けています。SNS上では「地元の足が消えないでほしい」「応援しています」といった温かい声が溢れており、鉄道が単なる移動手段以上の存在であることを改めて実感させられます。

嬉しいニュースが届いたのは長野県です。第三セクターのしなの鉄道は、2019年11月15日に「しなの鉄道線」の全線で運転を再開しました。千曲川の増水によって線路上の道路が崩落の危機にあり、田中駅から上田駅の間で不通が続いていましたが、国による懸命な補強工事が2019年11月14日に完了し、ついに軽井沢と長野市が一本のレールで結ばれました。

この全線復旧に伴い、沿線の魅力を詰め込んだ観光列車「ろくもん」も、2019年11月22日から運行を再開する予定です。豪華な食事と共に信州の景色を楽しめるこの列車の復活は、観光業の復興に向けた大きな希望となるでしょう。ここで言う「第三セクター」とは、自治体と民間企業が共同で出資して経営する形態を指し、地域住民の生活を支える公共性の高い役割を担っています。

スポンサーリンク

三陸鉄道の決意と阿武隈急行が直面する険しい道のり

岩手県の沿岸を走る三陸鉄道も、2019年度内の全線復旧という高い目標を掲げて動いています。現在は全線の約7割が不通という厳しい状況ですが、まずは2019年11月中に津軽石駅から宮古駅の間で運転を再開させる見込みです。沿線には学校が多く、学生たちの通学手段を確保することは、地域の未来を守ることと同義であると言っても過言ではありません。

三陸鉄道側は「2020年度の新入生の通学に影響が出ないよう、全力で取り組む」と強い決意を表明しています。震災からの復興の象徴でもあるこの路線が再び力強く走り出す姿を、多くの人が待ち望んでいることでしょう。一方で、福島県から宮城県にまたがる阿武隈急行は、いまだに全線復旧の目処が立たないという対照的な状況に置かれています。

阿武隈急行の線路内には依然として大量の土砂が残されており、安全確保が極めて困難な状態です。社内では「BRT(バス高速輸送システム)」の導入も検討案として浮上しています。BRTとは、バス専用道路や高度な運行システムを利用して、定時性や輸送能力を高めた交通手段のことです。利便性は高いですが、やはり「鉄路」を惜しむ声も多く、慎重な議論が求められています。

被災した鉄道の復旧には莫大な費用と時間が必要ですが、それは地域の笑顔を取り戻すための投資でもあります。効率性だけを求めるのではなく、それぞれの地域に最適な形で交通インフラが再生されることを願って止みません。一歩ずつ前進する各社の努力を、私たちはこれからも注視し、支え続けていく必要があるのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました