滋賀県が誇る日本最大の湖、琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」が、いま大きな転換期を迎えています。2019年11月18日、国土交通省は日本を代表する優れたサイクリング環境を持つ道として、ビワイチを「ナショナルサイクルルート」に正式選定しました。この制度は、世界に誇れるサイクリング観光地を国が認定し、海外へ向けて強力にプロモーションを行うためのものです。記念すべき第1弾として選ばれたことで、琵琶湖は「世界のBIWAICHI」へと進化しようとしています。
SNS上では「国のお墨付きがついたのは凄い!」「もっと走りやすくなるのが楽しみ」といった期待の声が溢れる一方で、1周約193キロメートルという距離に驚く反応も見られます。この壮大なルートを体験する人は年々急増しており、滋賀県の推計によれば、2018年には1周体験者が10万6000人に達しました。わずか3年間で利用者が2倍に膨れ上がった背景には、健康志向の高まりや、SNS映えする絶景スポットの多さが影響しているのでしょう。
多言語対応とアプリ導入で加速するおもてなし体制
今回の選定を受け、滋賀県は訪日外国人観光客(インバウンド)の誘致をさらに強化する方針です。特に台湾からのサイクリストに人気が高い現状を踏まえ、言語の壁を取り払う施策が急ピッチで進んでいます。その目玉の一つが、日本語・英語・中国語に対応した多言語ナビ機能付きアプリの提供開始です。これにより、初めて琵琶湖を訪れる海外の方でも、道に迷うことなく安心してサイクリングを楽しめる環境が整いつつあります。
さらに、走行中の不安を解消するためのインフラ整備も着実に進行しています。ルート上の重要な分岐点86カ所に設置されている案内看板については、2019年度中にすべて英語併記の2カ国語表記へ更新される予定です。また、空気入れや工具の貸し出し、トイレ利用が可能な「サイクルステーション」は、現在310カ所にまで拡大しました。こうした「痒いところに手が届く」サポート体制こそが、ビワイチの満足度を支えているといえます。
安全性の追求とこれからのビワイチが目指す姿
三日月大造知事は今回の選定に対し、世界中の人々や幅広い年齢層がより安全に楽しめるよう、案内表示や安全策をさらに拡充させる決意を語りました。編集部としての視点ですが、単に「距離を走る」だけでなく、誰もが安心して景色を愛でられる環境作りこそが、観光地としての真の価値を決めるのではないでしょうか。特に交通量が多い大津市内の約20キロ区間については、より安全なルートへの変更検討が始まっており、ハード面での進化が期待されます。
ナショナルサイクルルートには、他にも「しまなみ海道」や「つくば霞ケ浦りんりんロード」が選ばれましたが、琵琶湖には圧倒的な水の広がりと、周辺に点在する歴史的遺産という独自の魅力があります。自転車という等身大のスピードで旅をすることで、車では見落としてしまう滋賀の深い魅力に気づけるはずです。国を挙げたバックアップが始まった今、ビワイチは単なるスポーツの枠を超え、日本を代表する最高の「体験型観光」へと昇華していくに違いありません。
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