三重県伊勢市で長い歴史を紡いできた「まるてん」が、伊賀市の名門・大田酒造と手を取り合い、驚きの新商品を世に送り出しました。2019年10月に発売された「だし割かん」は、伊勢神宮へ奉納されるかつお節と日本酒をセットにした、まさに神聖なペアリングを楽しめる逸品です。
価格は4400円と少々贅沢ですが、その価値は一口飲めば納得できるでしょう。温めた日本酒にかつおだしを合わせることで、立ち上る湯気と共に芳醇な香りが空間いっぱいに広がります。かつての伊勢志摩サミットでも提供された両社の味は、まさに日本を代表するクオリティと言えます。
SNS上では「お酒が苦手でも、この出汁の香りと旨味には抗えない」「究極の癒やしの一杯」といった感動の声が相次いでいます。神様に捧げる食べ物である「神饌(しんせん)」と、お供えするお酒「神酒(みき)」の組み合わせは、古来より続く最高の相性なのです。
伝統製法が支える究極の「神饌」と観光への想い
まるてんが手掛けるかつお節は、直火での燻製を何度も繰り返す「手火山(てびやま)式」という非常に手間のかかる伝統製法で仕上げられています。天白幸明社長は、この深い味わいを通じて、単なる食事以上の「日本の食文化体験」を観光客に届けたいと願っています。
実際に、築100年を超える趣深い燻し小屋は観光名所となっており、2019年現在では年間約2000人もの人々が訪れています。JTBのツアーにも組み込まれるほど注目度は高く、五感で楽しむ工場見学は、国内外の旅行者にとって忘れられない思い出となっているようです。
編集者の視点から見ても、こうした「本物の体験」を売りにする戦略は非常に賢明だと感じます。モノが溢れる現代において、歴史の重みを感じる香りに包まれる時間は、どんな贅沢品よりも心を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
地域の高齢化に立ち向かう「伝味」の挑戦
伊勢市でも高齢化が進み、65歳以上が人口の3割を超える中、伝統の継承は切実な課題となっています。そこで天白社長は2018年から「伝味(でんみ)の会」を立ち上げました。これは地元の生産者や飲食店、バイヤーが集まり、新たなビジネスを模索する学びの場です。
調査によれば、旅行者の約2割が「美味しいものを食べること」を旅の最大の目的に挙げています。天白社長は、調理師学校との連携を通じて、この豊かな食文化を次世代に繋ぐ担い手を呼び込もうとしています。地方の魅力を外へ発信し、人を呼び戻す循環が今、求められているのです。
地元の誇りを守りつつ、新しい発想で伝統をアップデートし続ける彼らの挑戦は、地方創生のモデルケースと言えるでしょう。2019年11月18日、伊勢から始まるこの新しい波が、日本の食の未来を明るく照らすことを確信しています。
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