2019年11月06日、あずきバーでお馴染みの井村屋グループから衝撃的な決算が発表されました。2019年04月から2019年09月期における連結決算にて、純利益が前年の同時期と比べて88%も減少する1億700万円に留まったのです。この急激なブレーキの背景には、日本の夏を象徴する定番アイスの苦戦がありました。
大幅な減益を招いた最大の要因は、2019年07月の記録的な冷夏です。気温が上がらない日が続いたことで、氷菓の王様である「あずきバー」の需要が大きく落ち込んでしまいました。さらに、追い打ちをかけるように原材料である「あずき」の市場価格が高騰。売上の減少とコストの増加という二重苦が、利益を圧迫する形となったのでしょう。
昨年の2018年は記録的な猛暑に恵まれ、あずきバーの販売本数が過去最高を更新するという華々しい結果を残していました。その反動もあり、2019年04月から09月期の売上高は7%減の203億円に沈んでいます。SNS上では「冷夏であずきバーが食べられないなんて寂しい」「あの硬さが恋しいのに」といった、ファンからの惜しむ声が多数寄せられました。
冬のアイス市場に勝機あり!中島社長が描く反撃のシナリオ
しかし、井村屋は決して守りに入っているわけではありません。2020年03月期の通期見通しについては、純利益を前期比2%増の12億円、売上高を4%増の468億円とする当初の予想を据え置きました。この強気の姿勢を支えているのは、季節の枠を超えた新しい商品展開です。
特に注目を集めているのが、2019年10月に発売された「どらやきロールアイス」などの新ジャンルでしょう。これらは、従来の夏に涼を求める「氷菓」とは異なり、暖かい部屋で楽しむ「冬アイス」としての需要を見事に捉えています。中島伸子社長も、冬のニーズを確実に掴むことで、上半期の遅れを十分に取り戻せると自信を覗かせています。
「営業段階」からの減益、つまり本業の儲けを示す営業利益が苦戦したことは事実ですが、企業の地力は逆境でこそ試されます。あずきバーという強力なブランドを持ちながら、甘んじることなく新作で勝負する姿勢こそが、老舗のプライドではないでしょうか。冬のこたつで頂く濃厚なスイーツが、井村屋の救世主となる日も近そうです。
個人的な視点ですが、猛暑に頼るビジネスモデルから、一年中愛されるラインナップへの転換は非常に賢明な判断だと感じます。天候という不可抗力に左右されやすい食品業界において、季節を問わず消費者の心を掴む「冬のアイス戦略」には、今後も大きな期待が持てるはずです。
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