最近の国際学力調査において、フランス人が経済分野を苦手としている意外な事実が判明しました。この現状を重く受け止めたフランス中央銀行は、約64億円という巨額の資金を投じて、パリ市内に画期的な教育文化施設を誕生させました。その名も「シテコ(Citeco)」です。
2019年6月末にオープンしたこの施設は、メキシコシティに続き、世界でわずか2つ目となる「経済博物館」として大きな注目を集めています。SNS上でも「難解な経済がゲーム感覚で理解できる」「歴史的な建物と最新テクノロジーの融合が素晴らしい」と、ポジティブな反響が広がっているようです。
五感で楽しむ!歴史的建造物で体験する最先端の学習スタイル
シテコが提供するのは、教科書を読み耽るような退屈な学びではありません。館内にはタッチパネルやビデオ、マルチメディア・ゲームといった電子機器が並び、訪問者が能動的に参加できる「インタラクティブ(双方向)」な工夫が随所に凝らされています。
施設はフランス銀行が所有していた歴史的な遺産建築物を修復して活用しており、2400平方メートルという広大な空間が広がっています。格式高い空間で最新の学習体験ができるギャップこそ、パリらしい洗練された演出だと言えるでしょう。
展示は「交換経済」や「為替市場」、「経済規制」など6つの重要なテーマに分かれています。専門用語を並べるだけでなく、物の売り買いや価値の変動といった経済の仕組みを、3カ国語で分かりやすく噛み砕いて解説している点が非常に親切です。
子供から大学生までが夢中になる「12時間の充実体験」
特に子供たちの視線を釘付けにしているのが、自分自身の顔写真をデザインに組み込んだオリジナル紙幣をプリントできる体験コーナーです。自分の顔がお札になるというワクワク感を通じて、通貨という存在を身近に感じられる秀逸な企画と言えますね。
対象は15歳から30歳をメインとしつつも、読み書きができる子供から大人まで幅広く対応しています。全てをじっくり見学すると12時間もかかるという密度の濃さは驚きです。大学の経済学部の学生であっても、新たな発見が得られるほど専門的な内容も含まれています。
2019年11月18日現在の報告によれば、開館からわずか3カ月で入場者数は2万人を突破しました。19歳以上の一般料金は12ユーロですが、学校の課外授業や家族連れで賑わう光景は、経済教育の必要性がフランス国内で高く支持されている証拠ではないでしょうか。
経済学は私たちの生活に直結する学問でありながら、食わず嫌いになりがちです。シテコのような「遊び」を入り口にした施設が、将来の経済を担う若者たちの知的好奇心を刺激し、社会をより良く理解する一助になることを切に願っています。
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