アジアの安全保障が大きな転換点を迎えています。2019年11月17日、タイのバンコクにてアメリカのエスパー国防長官と韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相が会談を行い、今月中に予定されていた米韓合同空軍演習の延期を正式に発表しました。この決定は、北朝鮮が演習に対して激しい反発を強めている現状を受け、膠着状態に陥っている非核化協議を前進させるための「外交的な配慮」であると見られています。
会見でエスパー氏は、今回の措置を「平和を促進するための誠意ある一歩」と表現しました。同氏は北朝鮮側に対しても、ミサイル発射試験などの挑発行為を自制し、同様の誠実な姿勢を見せるよう強く期待を寄せています。SNS上では「対話への大きな譲歩だ」という期待の声がある一方で、「一方的な譲歩にならないか」といった懸念も広がっており、国際社会の視線は北朝鮮の次なる一手、つまり「相応の対応」があるかどうかに注がれています。
「ビジラント・エース」から続く対話への模索
かつて毎年12月頃に実施されていた大規模な合同空軍演習「ビジラント・エース」は、朝鮮半島の緊張緩和を優先するため、2018年から開催が見送られてきました。2019年11月7日の段階では、即応性を確保するために規模を縮小して実施する方針が示されていましたが、北朝鮮側は「重大な結果を招く危険なゲームだ」と猛反発。さらに中国も事態の沈静化を求めるなど、周辺諸国の外交攻勢が強まっていた背景があります。
ここで改めて「非核化」という言葉を整理しておきましょう。これは一般的に、北朝鮮が保有する核兵器やその製造設備を完全に放棄することを指します。アメリカはこの非核化を最終目標に掲げていますが、北朝鮮側は体制の安全保障や経済制裁の解除を同時に求めており、双方の条件が折り合わないことが協議停滞の主な原因となっています。今回の演習延期は、この複雑なパズルを解くための貴重な時間稼ぎとも言えるでしょう。
12月の交渉再開に期待、実務者協議の行方
北朝鮮側も、単に反発するだけでなく対話の窓口を広げる動きを見せています。金明吉(キム・ミョンギル)首席代表は、問題解決の糸口が見えるのであれば「いつでも、どこでもアメリカと向き合う用意がある」と表明しました。実際に、アメリカのビーガン北朝鮮担当特別代表からは、第三国を通じた2019年12月中の交渉再開が提案されている模様です。10月5日のストックホルムでの協議以来、途絶えていた対話が再び動き出す兆しが見えています。
編集者としての視点から言えば、軍事演習の延期は防衛能力の低下というリスクを孕む「劇薬」です。しかし、北朝鮮を再びテーブルに着かせるためには、言葉だけではない具体的な行動が必要だったのでしょう。エスパー氏が強調したように、高い準備態勢を維持しつつも柔軟な外交を展開できるかが、今後の朝鮮半島の運命を左右します。対話の「誠意」が単なる時間稼ぎに終わらず、真の平和に繋がることを願って止みません。
コメント