横浜で伝説が生まれる!10時間の超大作演劇『グリークス』が放つギリシャ悲劇の新たな魅力とは?

演劇界に衝撃を与える驚異の10時間上演が、ついに横浜の地で幕を開けます。2019年11月21日から2019年11月30日まで、KAAT神奈川芸術劇場にて上演される『グリークス』は、重厚な古典の世界を驚くほど軽快なエンターテインメントへと昇華させた話題作です。

SNS上では、先行して上演された京都公演の観客から「10時間があっという間だった」「ラップやダンスが融合していて全く飽きない」といった驚きの声が続出しています。一見するとハードルが高そうな長時間作品ですが、実は今の時代にこそ体験すべき、エキサイティングな仕掛けが満載の一大スペクタクルなのです。

本作の見どころは、演出家・杉原邦生氏による現代的でポップなアプローチにあります。例えば第8幕の「オレステス」では、なんとセリフにラップを導入。父を殺した母へ復讐を誓う姉弟の葛藤という重いテーマを、刻まれるビートに乗せて鮮烈に描き出しています。

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古典の常識を覆す!「今」を生きる観客に届く演出の魔法

ギリシャ悲劇といえば、人間の抗えない運命やドロドロとした愛憎劇を描き、ヨーロッパ演劇の原点とも言われるジャンルです。通常は「コロス(合唱隊)」と呼ばれる群衆が物語を解説する独特のスタイルをとりますが、本作でのコロスたちはまるでお喋りを楽しむ女子会のよう。

威厳があるはずの神アポロンも、顔を白塗りした道化師のような姿で登場します。杉原氏は「今の観客に伝わらなければ意味がない」と断言。古典の骨組みを大切にしつつ、ダンスや笑いを惜しみなく投入することで、若手俳優たちのエネルギーが舞台上で弾ける作品になっています。

物語はトロイア戦争から約17年間の歳月を、10の物語で繋ぎ合わせた壮大な叙事詩です。翻訳家・小澤英実氏による新訳は、私たちの日常に近い自然な言葉選びがなされており、神々の怒りや人間の嘆きが、まるですぐ隣で起きている出来事のように心に響きます。

私が特に注目したいのは、舞台に掲げられた「GODS(神々)」という文字の演出です。人間たちの信仰心が揺らぐにつれ、その文字は斜めに傾き、今にも崩れ落ちそうになります。これは、人間の意識の変化によって「神」という絶対的な存在すら変容していく様を象徴しているのです。

血の連鎖を乗り越える、演劇ならではの濃密な体験

物語は、娘を犠牲に捧げた父、その夫を殺した妻、さらに母を殺した子供たち……と、血で血を洗う負の連鎖が描かれます。10作品を一気に鑑賞することで、個別の物語では見えなかった運命の歯車が噛み合う瞬間を目の当たりにし、その圧倒的なスケール感に圧倒されるでしょう。

情報が短縮され、数十秒の動画で満足しがちな現代において、あえて10時間を劇場で過ごすことは、ある種の贅沢であり挑戦です。杉原氏が語る「その場でしか体験できないこと」は、画面越しでは決して味わえない、魂を揺さぶるリアルな体感に他なりません。

2019年11月21日からの横浜公演は、午前11時に開演し、終わる頃には夜の21時を回ります。しかし、終演後に感じるであろう充足感は、あなたの人生に新たな視点を与えてくれるはずです。この冬、歴史的な演劇体験を劇場で共有してみてはいかがでしょうか。

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