大阪市は、国家戦略特区として、年間の営業日数の上限が設定されない「特区民泊」が認められている全国でも有数の民泊激戦エリアです。2019年4月時点ですでに、特区民泊の認可を受けた部屋数は7,200件に達しており、ホスト間の競争は熾烈を極めていることでしょう。そうした環境の中で、約30件もの民泊施設を運営し、独自の存在感を放っているのが、LDKプロジェクト(大阪府池田市)の代表取締役である生田博之氏(38)です。
生田氏が目指すのは、「ゲストに感動を与える」民泊ホストとしてのサービス提供です。単に宿泊場所を提供するだけでなく、訪れる人々を深く魅了し、心に残る体験を創出することを目標に掲げています。この高い目標を達成するために、生田氏はどのような具体的な取り組みを行っているのでしょうか。
その核となるのが、きめ細かな心配りです。スタッフと協力し、宿泊施設を隅々まで清潔に保つことは基本中の基本として徹底されています。さらに、ゲストの特別な日を見逃しません。たとえば、ゲストの誕生日が事前に判明した際には、ささやかなプレゼントや心を込めた手紙を部屋に用意することを常に心がけているそうです。こうしたサプライズは、旅の思い出を一層特別なものにするに違いありません。
対面での交流の機会は少ないものの、生田氏はゲストとのメールでの連絡を密に行っています。「何しに日本に来るの?」といった簡単な会話から、ゲストの旅の目的や興味を汲み取り、その後の「心配りのヒント」を得ていると言います。これは、IT技術が発展した現代だからこそ可能な、パーソナライズされたおもてなしの形と言えるでしょう。ソーシャルメディア上でも、「さりげないプレゼントが感動した」「手紙にホストの温かさを感じた」といった、生田氏のサービスに対する好意的な反響が見受けられます。
ゲストがチェックアウトした後、部屋に残された「お礼のメッセージ」を見つけた瞬間は、何物にも代えがたい喜びに浸れる瞬間だと生田氏は語っています。こうした感動的な体験を生み出すことで、ゲストが何度も利用してくれる「リピーター」となってもらえるような施設を提供したいという強い思いを持っているのでしょう。
情報通信のキャリアから民泊事業への転身
生田氏は元々、情報通信系の企業に勤めながら、副業として2014年2月にLDKプロジェクトを設立されました。その後、民泊への情熱が高まり、2016年には会社員を辞めて脱サラを決断し、2017年から本格的に民泊事業をスタートさせたのでした。情報通信分野での経験が、メールでの綿密なコミュニケーションや効率的な運営に活かされている可能性もあるでしょう。
私見として、大阪のようなハイレベルな競争環境下では、単なる宿泊料金の安さや立地の良さだけでなく、生田氏が実践されているような「ホスピタリティ」、すなわち「思いやりやおもてなしの心」こそが、最終的な差別化要因になると確信しています。ゲスト一人ひとりに寄り添い、期待を超える「感動」を提供し続ける生田氏の民泊運営術は、他業種のサービス提供者にとっても大いに参考になるのではないでしょうか。
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