90年代の轟音が再び!シューゲイザー復活の理由とライド来日公演に見るロックの可能性

1990年代初頭にイギリスから世界を席巻した伝説的なロックの潮流「シューゲイザー」が、今まさに熱い再注目を集めています。長らく沈黙を保っていた伝説的なバンドたちが続々と活動を再開し、かつてのファンだけでなく新しい世代のリスナーまでもが、その重厚なノイズの壁に酔いしれているのです。SNS上では、彼らの帰還を「青春が戻ってきた」「この轟音こそが救い」と熱狂的に歓迎する声が溢れ返っており、一過性のリバイバルに留まらない勢いを感じさせます。

そもそもシューゲイザーとは、アンプとのフィードバックによって激しく歪ませたギターの音を幾層にも重ね、その轟音の中に甘くささやくような歌声を乗せるスタイルを指します。演奏中に足元のエフェクターを凝視し続ける姿から「靴(shoe)を見つめる(gaze)者」という意味で名付けられました。2019年12月02日現在、この独特のアートフォームが現代の音楽シーンにおいて、これまで以上に鮮やかな輝きを放ち始めている事実は、音楽ファンにとって非常に喜ばしい出来事といえるでしょう。

かつて「御三家」の一角を担ったバンド「ライド」も、その復活劇を牽引する中心的な存在です。1996年にメンバー間の不仲により解散した彼らですが、2014年の再結成以降はかつてないほど強固な一体感を見せています。ボーカルとギターを担当するマーク・ガードナー氏は、現在のバンドの状態について、かつてないほど前向きで精力的な手応えを感じているようです。2017年には21年ぶりの新作を世に送り出し、さらに2019年には最新アルバムをリリースするなど、その創作意欲は留まることを知りません。

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エレクトロとの融合で進化する「伝統の音」

ライドの進化を語る上で欠かせないのが、現代的なダンスミュージックとの親和性です。最新作の制作過程では、ロンドンで開催されていた画家ジャン=ミシェル・バスキアの展覧会からインスピレーションを受けたといいます。ここで「エレクトロニカ」というキーワードが登場します。これはパソコンや電子機器を用いて構築される音楽の総称ですが、緻密な音響工作を必要とする点でシューゲイザーとの共通点が多いのです。彼らはこの電子音楽の要素を巧みに取り入れ、サウンドを現代版へと鮮烈にアップデートさせました。

2019年11月に開催された来日公演では、新曲とともに「シーガル」や「ヴェイパー・トレイル」といった往年の名曲が披露され、会場は熱狂の渦に包まれました。マーク氏は、今のギターロックにはまだまだ可能性があると力強く語っています。古いスタイルに固執するのではなく、新しいアプローチを恐れずに取り入れる姿勢こそが、彼らの音楽を単なる「懐メロ」にさせない理由でしょう。温故知新を地で行く彼らのライブは、ロックの未来を指し示す羅針盤のようにも感じられます。

また、シューゲイザーの遺伝子は国境やジャンルを越えて受け継がれています。国内においても、人気バンドのサカナクションが2019年に発表したアルバムの中で、この手法を取り入れた楽曲を披露して話題を呼びました。音楽ライターの黒田隆憲氏が指摘するように、シューゲイザーはもはや特定のジャンルという枠を超え、音楽を彩るための普遍的な「手法」や「アート表現」へと昇華されたのかもしれません。特定の時代に縛られないこの音像は、これからも形を変えながら鳴り響き続けるはずです。

40代から50代のリアルタイム世代にとって、この復活劇は自身のアイデンティティを再確認する儀式のようです。同時に、90年代のカルチャーを新鮮に感じる若い世代にとっては、最新の音楽体験として受け入れられています。私自身、この「美しいノイズ」が今の時代に必要とされているのは、情報の洪水の中で何かに没入したいという現代人の欲求の表れではないかと考えます。圧倒的な音圧に身を委ね、思考を停止させる快感は、まさに現代の瞑想とも呼べる贅沢な時間を提供してくれるでしょう。

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