かつて「海賊版天国」として悪名高かった中国ですが、その中でも一際、違法な映画やドラマを収録したDVD・CDを取り扱う店舗が街中に溢れていました。近年、当局の取り締まり強化によってその数は激減しているものの、上海市内には今なお、しぶとく営業を続ける店舗が存在しています。驚くべきことに、こうした違法店舗の経営を根底から支えているのは、他でもない日本人の顧客であるという実態が浮き彫りになってきました。
上海市内の海賊版DVD販売店では、店員が片言の日本語で「10枚買えばさらに3枚プレゼントしますよ」と、訪れる日本人観光客を熱心に勧誘している光景が見られます。店内を見渡せば、客の大半が日本人で占められているというのです。上海に駐在しているという男性客は、「日本へ一時帰国する際の良いおみやげになります」と、その購入理由を語っています。
🎬取り締まり強化にも屈しない!日本人需要が違法店舗の生命線
販売店の男性店員は、周囲を警戒しながら声を潜め、最近は当局の取り締まりが厳しくなっており、終日営業できる日もあれば、夜21時以降に限定して営業する日もあると、綱渡りのような実情を明かしました。しかし、彼らがそれでも営業を続けるのは、ひとえに日本人顧客の存在があるからです。「日本人はDVDが本当に好きだ。中国人はほとんど買ってくれないが、日本人がいるから商売になるよ」と、店員は日本人への依存度の高さを正直に語っています。
実際に店内では中国人客の姿はほとんど見られません。これは、中国で動画コンテンツの視聴方法が完全にインターネットへ移行しているためです。中国では、アリババ(阿里巴巴集団)傘下の「優酷土豆(Youku Tudou)」や、テンセント(騰訊控股)系の「騰訊視頻(Tencent Video)」といった動画配信サービス(VOD)が主流となっています。現地の人々は、海外のドラマや映画をこれらのサービスを通じて、スマートフォンやパソコンで視聴することが一般的です。
上海で働く30歳の女性会社員も「映画やドラマはスマートフォンで見るので、DVDプレーヤーを持っていないため、DVDを買う意味がありません」と話しており、中国人にとってDVDというメディア自体が過去のものとなりつつあることが分かります。違法な著作物を取り締まる当局のデータを見ても、DVDなどの海賊版の押収数は、5年前と比較して10分の1以下にまで激減している一方で、ネット上に出回る違法コンテンツの摘発数は年々増加の一途を辿っているのです。
このような状況は、中国がインターネット先進国として急速に進化しているのに対し、日本ではまだDVDという物理メディアでの視聴が一般的であるという、ささやかな点からも日中のネット環境の大きな格差を感じさせます。この格差が、結果として上海の海賊版ビジネスを間接的に延命させているというのは、なんとも皮肉な状況ではないでしょうか。
インターネット上での反響としても、「まだDVDを買っている人がいるとは信じられない」「中国でDVDはもう骨董品扱いだ」「日本はデジタル化が遅れていると改めて認識させられる」といった驚きや、日本のデジタルディバイドを指摘する声が多く見受けられます。デジタルコンテンツへのアクセスが容易になった現代において、今も違法な物理メディアを求める日本人の需要が、中国の違法ビジネスを支えているという事実は、日本の著作権意識と視聴習慣について、深く考えさせられるでしょう。
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