大阪を代表するパワースポットとして、初詣でも絶大な人気を誇る住吉大社(大阪市住吉区)。ここで毎月最初の「辰(たつ)の日」に行われる「初辰(はったつ)まいり」という縁日が、いま大きな注目を集めています。特に参拝者の心を掴んで離さないのが、二番目に巡拝する「楠珺社(なんくんしゃ)」で授与される愛らしい「初辰猫」の存在です。
2019年11月03日の初辰日に現地を訪れると、そこには大小さまざまな招き猫が並ぶ圧巻の光景が広がっていました。この猫には面白い決まりがあり、奇数月は左手を挙げた「人招き」、偶数月は右手を挙げた「お金招き」を意味しています。一つ500円で授かる小さな猫たちは、コレクション欲を刺激するだけでなく、深い商売の哲学を秘めているのです。
48体を揃えて「始終発達」!24年がかりの壮大な物語
「初辰猫48体で始終発達(しじゅうはったつ)」。そんな語呂合わせから、4年間欠かさず参拝して48体の小猫を集めると、ようやく一回り大きな「中猫」と交換してもらえます。さらに中猫2体と小猫48体を揃えることで、最高峰の「大猫」へと昇格できるのです。左右ペアの大猫を手にするには、最短でも24年の歳月が必要になるというから驚きですね。
住吉大社の権禰宜(ごんねぎ)、小出英詞さんによれば、かつては中猫や大猫を直接販売していた時期もあったそうです。しかし、現在はあえて交換制のみに絞っています。これは、商売において最も大切な「コツコツと続ける継続性」を大切にしてほしいという神社の願いが込められているからでしょう。便利さが優先される現代だからこそ、この「時間の重み」が心に響きます。
大阪商人の粋な文化が育んだ「猫ブーム」のルーツ
もともと住吉大社は「卯(う)の日」が重要な祭事日でしたが、明治時代の中頃、ある商人が招き猫を買い集めたことがきっかけで大ブームが巻き起こりました。猫人気で増えすぎた参拝者を分散させるため、翌日の「辰の日」も縁日になったという経緯は、いかにも商都・大阪らしい柔軟なエピソードではないでしょうか。
「はったつ」という言葉の響きを「発達」にかけるなど、大阪には古くからシャレや語呂合わせで場を和ませる文化が根付いています。SNSでも「この猫のために毎月通いたい」「24年かけて大猫を目指す推し活みたい」と話題になっており、伝統的な信仰と現代の収集文化が見事にマッチしている様子がうかがえます。
実際に1994年から家業に携わり、2002年02月から17年間欠かさず参拝している経営者の方は、毎月の報告が心の支えになっていると語ります。単なる神頼みではなく、自分を律するための「マイルストーン(中間目標地点)」として機能しているのですね。2019年も残りわずか。皆さんも新しい習慣として、この愛くるしい猫たちと一緒に「継続の力」を養ってみませんか。
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