ポスト5Gで日本は復活できるか?2200億円の基金創設と過去の産業政策から見える大きな課題

日本政府は2019年12月、新たな経済対策の柱として、次世代の高速通信規格「ポスト5G」の技術開発を支援するために2200億円規模の基金を設立する方針を固めました。現在の5G市場において海外勢に大きく先行を許してしまった苦い経験をバネに、次なるステージでの逆転劇を狙っているのでしょう。しかし、この壮大な計画に対しては、期待よりも不安の声が先行しているのが現状です。

インターネット上では「また同じ失敗を繰り返すのではないか」といった冷ややかな意見や、これまでの産業政策に対する厳しい批判が目立ちます。具体的には、多額の公的資金を投入しながら苦境に立たされている「日の丸連合」の姿が、国民の目には不安材料として映っているようです。期待されるポスト5Gとは、5Gの特性をさらに進化させ、製造業や医療などの産業基盤を支える超低遅延・多数同時接続を実現する技術を指します。

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巨額支援の影に潜む「失敗の歴史」という教訓

これまでの政府主導による支援策を振り返ると、官民ファンドの代表格である旧産業革新機構が支えてきたジャパンディスプレイの事例が思い浮かびます。同社は現在、債務超過の状態にあり、業績回復の兆しがなかなか見えません。4000億円を超える公的支援が投じられたと報じられていますが、出口の見えない経営危機に、国民からは破綻のリスクを危惧する声が噴出しています。

さらに、農林水産業の活性化を目的とした「農林漁業成長産業化支援機構」も、2020年度末には新規投資を停止する予定となっています。2019年度末までに100億円を上回る累積損失を抱える見込みであり、機構そのものの解散も議論の遡上に載っている状態です。日本の魅力を世界へ発信するはずの「クールジャパン機構」についても、2019年度末時点で約200億円の赤字が予想されるなど、厳しい現実が突きつけられています。

今回のポスト5G支援が、かつての失敗と同じように「砂漠に水をまく」ような事態に陥らないか、私は強い懸念を抱かずにはいられません。米国や中国の巨大IT企業が、年間で1兆円を超える研究開発費を投じている世界的な競争の中で、2200億円という予算が果たしてどれほどの効力を発揮するのでしょうか。資金の投入先や具体的な開発目標が不透明なままでは、過去の過ちを再演することになりかねません。

日本は基礎技術を生み出す力がありながら、それを収益性の高いビジネスへと昇華させる戦略が決定的に欠けていると感じます。研究開発という名目での「バラマキ」で終わらせないためには、新基金を立ち上げる前に、これまでの産業政策がなぜ機能しなかったのかを厳しく総括すべきです。単なる予算の消化ではなく、世界に通用する明確な出口戦略こそが、今の日本には求められているのではないでしょうか。

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