2019年12月04日、日本企業のあり方を大きく変える改正会社法が参院本会議で可決、成立しました。今回の改正における最大のトピックは、一定規模以上の企業に対して「社外取締役」の設置が法律で義務付けられたことです。これまでも上場企業を中心に導入は進んでいましたが、今後は中堅企業も含め、より広範なステージで経営の透明性が厳格に問われる時代へと突入します。
社外取締役とは、会社の経営陣や利害関係者ではない「外部の視点」を持つ役員のことです。身内だけの経営に陥り、不祥事や独断的な意思決定が行われないよう、客観的な立場でアドバイスや監督を行う重要な役割を担います。SNSでは「これで天下り先が増えるだけにならないか」という厳しい声がある一方で、「不祥事続きの日本企業を浄化する最後の切り札だ」と期待を寄せる意見も多く見られます。
「いるだけ」の存在から「機能する」プロフェッショナルへ
改正法が対象とするのは、資本金5億円以上または負債200億円以上の大会社などで、政府は2021年の施行を目指しています。東証1部企業の9割以上はすでに設置済みですが、マザーズやジャスダックといった新興市場では導入が遅れており、早急な人選が迫られています。投資家が今注目しているのは、単に席を埋めることではなく、経営陣に対してNOと言える「独立性」を保持しているかという実質的な中身です。
実際に2019年の株主総会では、メインバンク出身者や顧問関係にある弁護士など、独立性に疑問符がつく候補者に対して、株主から強い反対票が投じられるケースが目立ちました。私は、この「株主の厳しい視線」こそが、形骸化していた日本のコーポレートガバナンス(企業を健全に保つための仕組み)を本物に変えていくエンジンになると確信しています。
不祥事対応においても変化の兆しがあります。米国の先進事例のように、社外取締役が中心となって内部監査を指揮する仕組みが整えば、不正の芽を早期に摘むことが可能になるでしょう。もはや社外取締役は「名誉職」ではなく、企業の命運を左右する「経営の番人」です。選ぶ側も選ばれる側も、その責任の重さを再認識し、真に価値ある統治体制を構築することを切に願います。
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