秋田県から世界へ向けて、最先端テクノロジーの産声が上がりました。半導体検査装置のスペシャリストとして知られるインスペック株式会社が、自動車産業の劇的な変化に対応する画期的な「レーザー直描露光装置」を開発したのです。このニュースが報じられるやいなや、SNS上では「地場企業の技術力が日本のEVシフトを支える」「6メートルもの長尺対応は驚異的だ」といった期待の声が次々と寄せられており、業界内外から熱い視線が注がれています。
今回発表された「RD3000」は、スマートフォンなどでお馴染みのフレキシブルプリント基板、通称「FPC」を製造するための装置です。FPCとは、薄くて柔らかく、自由自在に折り曲げられる配線基板のことで、限られたスペースに複雑な配線を詰め込む必要がある現代の精密機器には欠かせない存在といえます。これまではスマホやウェアラブル端末が主戦場でしたが、これからは自動車がその最大の舞台になろうとしています。
CASE革命を支える「シームレス」という圧倒的な強み
自動車業界はいま、100年に一度と言われる「CASE」の荒波の中にあります。CASEとは、コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化の頭文字を取った言葉で、これを実現するには膨大な数のセンサーや制御ユニットが必要です。インスペックの新装置は、最長で6メートルという驚異的な長さのFPCを、継ぎ目なく連続して露光できる「シームレス」な技術を誇ります。これは、巨大な車体を駆け巡る長い配線を効率的に作るための鍵となります。
特に注目すべきは、電気自動車(EV)における配線の総延長です。EV1台に使われるワイヤーハーネスの長さは1500メートルから3000メートルにも達すると言われており、車体の軽量化が航続距離に直結するEVにとって、重い銅線から軽くて薄いFPCへの置き換えは至上命題なのです。菅原雅史社長が「今後大きな市場が生まれる」と断言するように、この装置はまさに時代の要請に応える形で誕生したと言えるでしょう。
この開発プロジェクトは、秋田県産業技術センターとの共同研究に加え、経済産業省の補助制度も活用された「産官学」の結晶でもあります。2019年12月06日に発表されたこの意欲作は、1台あたり5000万円から6000万円という価格帯で展開されます。2020年02月からは待望の受注が開始され、同年05月以降には実際の工場への出荷が始まる予定となっており、製造現場の景色を一変させる可能性を秘めています。
編集者としての私見ですが、地方からこれほど尖った技術が生まれることは、日本の製造業復活の象徴のように感じます。単に検査するだけでなく、作る工程へ踏み出した同社の戦略は非常に理にかなっています。自動運転車が街を駆け抜ける未来において、秋田で生まれたこの装置が心臓部の配線を支えていると想像すると、胸が熱くなります。技術革新のスピードに負けない、インスペックのさらなる飛躍に期待せずにはいられません。
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