近年、地球環境への意識が世界的に高まり、特にサステナブル(持続可能)な製品に対する関心は欧米を中心に非常に強まっています。このような流れを受け、繊維業界のリーディングカンパニーである東レと、北陸地方をはじめとする繊維関連企業で構成される企業共同体「東レ合繊クラスター」は、このたび環境配慮型の新しい生地ブランドを立ち上げました。その名も「シンセティック マジック」です。
この「シンセティック マジック」は、環境負荷の低減を徹底的に追求した画期的なブランドとなっています。具体的には、製造過程で生じる糸くずなどを再生して生地の原料として活用したり、石油由来ではなく植物を原料とした繊維を積極的に利用したりすることで、地球に優しいモノづくりを実現しているのです。この取り組みの最大の特長は、生地の重量の50パーセント以上を、リサイクル原料や植物由来の原糸・原綿が占める点にあります。また、はっ水加工に際しても、環境への影響が懸念されるフッ素化合物を一切使用しないという徹底ぶりです。
新ブランドの核となる素材の一つとして注目されているのが、植物由来でありながら優れた伸縮性を持つストレッチ素材「ヴァーチャレックス」です。これを使用した生地が「シンセティック マジック」として市場に投入され、ファッション業界に新しい風を吹き込むことが期待されています。この革新的なブランドの発表を受け、SNSでは「環境に優しい素材の選択肢が増えるのは嬉しい」「大手企業のサステナブルな取り組みは応援したい」といった好意的な反響が見受けられ、関心の高さがうかがえます。
新ブランドの本格展開に先立ち、2019年6月17日には東京・表参道で展示会が開催されました。ここでは「シンセティック マジック」の生地や、それを使用した製品を含む、合計446点もの生地や衣料が、アパレル企業の担当者やデザイナーに向けて提案されました。特に、旅行用やヨガウェアといったアクティブなシーンで活用できる衣服への採用を目指し、商談が進められたようです。
私自身、編集者としてこのニュースに触れ、非常に感慨深く感じています。環境配慮はもはや「特別なこと」ではなく、全ての産業で取り組むべき「当たり前のこと」になりつつあります。今回、東レと北陸の技術力が結集し、環境に優しく、かつ高機能な合成繊維(合繊)の新しい価値が提案されたことは、日本の繊維産業が世界をリードしていく上で非常に大きな一歩だと確信しています。また、ファッション分野においては、麻のような質感を持つ合成繊維「パリネ」や、ウールのような風合いを持つ「エフレンディ」といった既存ブランドも引き続き展示され、合成繊維が持つ無限の可能性を感じさせました。
東レ合繊クラスターは、この「シンセティック マジック」を通じて、2019年度中に国内外で50万メートルの出荷を目指すという具体的な目標を掲げています。これは、環境への意識が高い世界の消費者のニーズに応え、日本の繊維技術を駆使してサステナブルなファッション市場を切り拓いていこうという強い意志の表れでしょう。今後の展開に期待が高まります。
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