中部地方の経済を支える主要企業たちの業績に、冷たい風が吹き込み始めました。2019年11月15日までに発表された愛知、岐阜、三重県に本社を置く上場企業136社の2019年4月から9月期決算を分析すると、本業の勢いを示す「経常利益」が前年同期より2%減少していることが判明したのです。
経常利益とは、企業が通常の活動で稼ぎ出した利益を指し、その企業の真の実力を測るバロメーターとなります。期初には3%の増益を見込んでいたものの、今回の集計では一転して6%の減益へと下方修正されました。これは2020年3月期の通期決算が、2年連続のマイナス成長に陥る可能性を色濃く示唆しています。
SNS上では「地元の製造業が元気ないと街全体が沈む気がする」「やっぱり米中貿易摩擦の影響は避けられないのか」といった、将来を不安視する声が目立っています。世界的な経済の停滞が、私たちの生活に密接に関わる中部の「ものづくり」の現場に、予想以上の影を落としていることが浮き彫りになりました。
自動車・機械を直撃する減速の連鎖
今回の不振の大きな要因は、米中貿易摩擦の長期化と中国経済の減速、そして国内の消費増税という三重苦にあります。特に中部の誇りである「製造業」は苦戦を強いられており、営業利益の段階で2ケタ減となる見通しです。営業利益とは、売上高から原価や経費を差し引いた、本業そのもので得られた儲けを意味します。
業種別では「自動車・部品」の減益幅が当初の8%から38%へと大幅に悪化し、「機械」も14%の減益へと沈み込みました。ブラザー工業やオークマといった名門企業も、工作機械の受注減を背景に業績予想を相次いで引き下げています。経営陣からは「底打ちの兆しが見えない」と、悲痛な叫びに近い声が漏れています。
日本工作機械工業会のデータによると、2019年10月の受注額は13ヶ月連続で前年を下回る結果となりました。さらに自動車向け部材を手掛ける日本ガイシや日本特殊陶業、大同特殊鋼などの素材メーカーも下方修正の波に飲み込まれています。コスト高と需要減の挟み撃ちに遭っているのが現在のリアルな姿でしょう。
希望の光は内需にあり?鉄道と物流が健闘
一方で、すべての企業が沈んでいるわけではありません。外需依存の製造業が苦しむ中で、国内の需要に支えられた「内需企業」は驚くべき底堅さを見せています。例えば名古屋鉄道は、中部国際空港と名古屋駅を結ぶ路線の利用が好調で、JR東海も新幹線利用者が想定を上回るペースで推移している状況です。
物流大手のセイノーホールディングスは、適正な運賃改定の効果が表れ、過去最高となる経常利益をさらに上積みする勢いを見せています。編集者としての私の視点では、こうしたサービス業やインフラ関連の好調さは、地域経済の下支えとして極めて重要ですが、それだけで製造業の巨大な落ち込みをカバーするには至らないのが現状です。
世界経済の波に翻弄される中部企業ですが、全国平均の純利益11%減に比べれば、1%減に留まっている彼らの粘り強さは特筆すべきものでしょう。今はまさに耐え忍ぶ時期ですが、ここで培った効率化やコスト意識が、次なる反転攻勢の武器になるはずです。今後のV字回復に向けた各社の次なる一手に注目が集まります。
コメント