2019年09月24日に発表された最新のTKC経営指標(BAST)によれば、日本の観光・食文化を支える宿泊業と飲食サービス業が、かつてない収益性の壁に直面しています。2018年度における黒字企業の割合はわずか34.7%に留まっており、業界全体でみると約3社に2社が利益を出せていないという、非常に厳しい実態が浮き彫りとなりました。
売上高そのものは1社あたりで見ると増加傾向にあり、需要自体は決して衰えているわけではありません。しかし、それ以上に経営を圧迫しているのが、人件費や設備維持費といった「固定費」の膨張です。売上が伸びても手元に残るお金が減ってしまうという、構造的なジレンマが現場の経営者を苦しめているのでしょう。
特筆すべきは、企業の最終的な実力を示す「経常利益」が前年比で37.9%も大幅に減少した点です。経常利益とは、本業の儲けから利息の支払いなどを差し引いた、企業が経常的に生み出す利益のこと。この数字が4割近くも削られた事実は、もはや一過性の不調ではなく、経営モデルの刷新を迫る警告灯といえるはずです。
SNS上では、「これだけ忙しいのに給料が上がらないのは、利益が固定費に消えているからか」といった従業員側の悲鳴や、「人手不足で時給を上げざるを得ず、利益が出ない」という店主の嘆きが広がっています。現場の努力だけでは、増え続けるコストを吸収しきれない限界地点に達していることが伺えます。
私は、この状況を打破する鍵は「ICT化」による徹底した効率改善と、独自価値の創出にあると考えます。ICTとは情報通信技術の略称ですが、予約システムの自動化や配膳ロボットの導入、AIによる需要予測などは、人手不足を補うだけでなく、スタッフが「おもてなし」に集中できる環境を整えてくれるでしょう。
単なるコスト削減に走るのではなく、テクノロジーを味方につけてサービスの質を高め、単価を上げる勇気が今こそ必要です。2018年度の苦いデータを教訓に、どれだけ付加価値を高められるかが、今後の生き残りを分ける分岐点になります。変化を恐れず、攻めの経営へ転換するタイミングが到来しているのです。
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