全国一位のニラ生産量を誇る高知県で、農業の未来を大きく変える画期的なプロジェクトが始動しました。2019年11月15日、建設大手の清水建設と農林中央金庫がタッグを組み、園芸農家を強力にバックアップする新会社「シミズ・アグリプラス」を2019年11月6日に設立したことが発表されたのです。建設業界の技術力と、農業金融のプロが手を取り合うという異色の連携は、早くも「農業の形が変わる」と大きな注目を集めています。
現在、高知県の農業現場では生産者の高齢化が進み、産地の維持が切実な課題となっています。特にニラ農家を悩ませているのが、収穫後の膨大な作業時間です。SNS上でも「ニラの袋詰め作業は本当に過酷」「手作業には限界がある」といった現場の悲痛な声が上がっており、こうした担い手不足を解消するために新会社が立ち上がりました。企業が最新の機械を導入し、農家に代わって出荷準備を請け負うことで、農家が栽培に専念できる環境を整えます。
伝統の「そぐり」を機械化!水と空気の力で効率アップ
新会社がまず着手するのは、ニラの出荷前に不可欠な「そぐり」と呼ばれる作業の機械化です。そぐりとは、ニラの一本一本から不要な外葉を取り除く工程を指す専門用語で、実はニラの出荷にかかる全作業時間の約7割を占めています。これまでは近隣の高齢者が手作業で行ってきましたが、人手不足により限界を迎えていました。神成篤司社長は、この最も負担の大きい部分を自動化することが、産地を守るための最優先事項であると強調しています。
具体的なシステムとして、2020年4月には本社内に4台の「自動そぐり機」を導入する予定です。この機械は、ベルトコンベヤーに載せたニラを水圧と空気の噴射によって、瞬時に外葉を剥ぎ取ります。高知県内のメーカーが改良を重ねて開発したもので、まさに地元の知恵と最新技術の結晶といえるでしょう。機械を通した後は、人の目で丁寧に検品し、100グラムずつ結束して出荷。これにより、初年度だけで200トンの処理を見込んでいます。
清水建設のノウハウで次世代のビニールハウス栽培へ
清水建設が農業に参入する背景には、本業で培った高度な空調・採光技術の応用があります。高知県の主力であるビニールハウス栽培において、建物の環境を制御する技術は大きな武器になります。将来的には、出荷代行にとどまらず、自社で農場を運営して直接野菜を生産することも視野に入れているそうです。単なる省力化の支援ではなく、建設会社の技術を投入した「次世代型農業」の確立を目指している姿には、大きな期待が膨らみます。
筆者の視点としても、今回の異業種参入は、単なるビジネスチャンスを超えた「地域存続のための必然」であると感じます。伝統的な手作業に頼り切るのではなく、企業の資本と技術を柔軟に受け入れることで、高知県が誇るシシトウやショウガといった他のブランド作物も守ることができるはずです。2017年7月に結ばれた3者協定が、今まさに具体的な形となり、日本の農業が直面する壁を打ち破る一歩となることを願ってやみません。
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