2019年11月19日、地方自治体の財政を揺るがす大きな動きがありました。全国知事会が自民党の税制調査会に対し、電力やガス事業者に課されている「法人事業税」の現行制度を維持するよう、強い口調で要望を伝えたのです。
現在、エネルギー企業には「収入割」という特殊な課税方式が適用されています。これは一般的な企業のように利益(所得)に対して税金を払うのではなく、売上(収入)そのものをベースに税額を決める仕組みのことを指します。
この制度を巡り、経済界を代表する経団連が2020年度の税制改正で「見直し」を求めたことが騒動の引き金となりました。もし要望が通れば、都道府県全体で年間1500億円もの減収になると試算されており、地方側はまさに背水の陣です。
SNS上では「1500億円も減ったら行政サービスが止まるのでは?」と不安視する声や、「自由化が進んだのだから不公平な増税は避けるべき」といった企業側への理解を示す意見が飛び交い、議論が白熱しています。
発送電分離と地方財政の真っ向対立
全国知事会会長の飯泉嘉門徳島県知事や富山県の石井隆一知事らは、2019年10月から11月にかけて自民党税調の甘利明会長らを直接訪問し、現行制度の堅持を必死に訴えかけました。
エネルギー業界が「収入ベース」で課税されてきた背景には、かつての地域独占という特権的な立場がありました。しかし経団連は、電力小売りの全面自由化や発送電分離によって、経営環境は激変したと強く主張しています。
「発送電分離」とは、電気を作る部門と運ぶ部門を切り離し、公平な競争を促す改革のことです。経団連側は、この改革によって他業界より重い税負担を強いる根拠は失われたとして、所得ベースへの移行を迫っています。
一方、石井知事は「経営環境の変化と課税制度の見直しは無関係だ」と断言しました。電力会社が地域で受けている行政サービスの恩恵は依然として大きく、新電力への切り替えも限定的であるという見解を崩していません。
編集部が斬る!公平な税制と地方の自立
今回の対立は、企業の競争力強化を優先するか、地方の安定した財源を守るかという、日本が抱える構造的なジレンマを浮き彫りにしています。1500億円という数字は、地方にとってはあまりに巨大な金額です。
確かに市場環境は変わりましたが、インフラ企業としての公共性を考えれば、安定的な納税は社会的責任とも言えるでしょう。安易な減税が住民サービスの低下を招くことは、誰も望んでいないはずです。
政治には、企業の活力を削がず、かつ地方が枯渇しない「落とし所」を見出す高度なバランス感覚が求められます。今後の税制改正議論において、国民が納得できる透明性の高い対話が行われることを切に願います。
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