集中力を研ぎ澄ませ、最高のパフォーマンスで仕事をこなしたいと願うのは、すべてのビジネスパーソンに共通する思いでしょう。しかし、人間の集中力には限界があり、ただ闇雲にデスクへ向かい続けるだけでは効率が下がる一方です。そこで今、注目を集めているのが、常識に縛られない「攻めの息抜き」という考え方です。SNS上でも「集中力が切れた状態で粘るより、一度リセットした方が結果的に早い」という共感の声が広がっています。
2019年12月10日、画期的な休憩スタイルを実践している企業として神奈川県鎌倉市のウィルフォワードが紹介されました。こちらの会社では、なんと平日の午後に社員がジョギングへ出かける光景が日常茶飯事だといいます。成瀬拓也社長は、一律に正午から休憩を取る従来のルールを「ナンセンス」と切り捨て、社員が自身の疲労や空腹、さらには天候などの状況に合わせて、最も効果的なタイミングで休息を取ることを推奨しているのです。
自分で切り替えの時間をコントロールできる環境は、社員の生活を豊かにするだけでなく、業務への没頭度を劇的に高めます。もちろん、同社のようなクリエイター中心の職場は自由度が高い稀有な例かもしれません。しかし、私たちが日々感じている「形だけの昼休み」への違和感は、実はもっと柔軟に解消できる可能性があるのです。無理に働き続けることが美徳とされた時代から、賢く休むことが評価される時代へと、確実な変化が訪れています。
法律が守る「休息の権利」と賢い分割テクニック
そもそも日本の労働基準法では、8時間を超える勤務に対して少なくとも1時間の休憩を与えることが企業に義務付けられています。しかし、現実は接客や電話対応に追われ、満足に休めていない方も多いのではないでしょうか。労働問題の専門家である荘司雅彦弁護士は、休憩の本質は「業務からの解放」であると指摘します。もし昼休みが削られたのなら、上司に相談して別の時間にスライドさせることは、労働者の正当な権利と言えるでしょう。
さらに注目したいのが、休憩の「分割取得」というテクニックです。就業規則や労使協定(雇用主と労働者の間で結ばれる約束事)によれば、合計が1時間以内であれば、短時間の休憩を何度かに分けて取ることも可能です。例えば、お昼は30分でサッと済ませ、強烈な眠気に襲われる午後15時に30分の仮眠を取るといった運用です。こうしたメリハリをつけることで、脳をリフレッシュさせ、午後の生産性を最大化させることができるでしょう。
ただし、自由な休憩には「周囲への配慮」というマナーが欠かせません。黙って長時間席を外せば、サボっていると誤解され、同僚との信頼関係にヒビが入る恐れがあります。離席時には戻り時間をメモに残したり、上司に一声かけたりするなどの丁寧なコミュニケーションが大切です。こうした小さな気遣いこそが、自由な働き方を職場に定着させるための土台となります。独りよがりではない、調和のとれた「休息術」こそが社会人の嗜好と言えます。
本格的なジョギングや仮眠が難しい環境でも、工夫次第で気分転換は可能です。トイレへ立つ際に少し遠回りをしてみたり、窓の外を眺めて遠くの景色を目に入れたりするだけでも、脳の緊張は緩和されます。嶋崎量弁護士が語るように、これからの企業には「休む=悪」という古い意識を捨て、社員が安心して休める文化を育む姿勢が求められています。2019年、私たちは「頑張りすぎない努力」を始めるべき時期に来ているのかもしれません。
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