2019年12月09日に閉幕を迎えた臨時国会では、政府が新たに提出した15本の法案のうち14本が成立するという、93.3%という極めて高い成立率を記録しました。一見すると盤石な政権運営のように思えますが、その舞台裏では閣僚の相次ぐ辞任や「桜を見る会」を巡る厳しい追及が続いていたのです。逆風の中でもこれほどの実績を残せた背景には、政府・与党による緻密な戦略が隠されていました。
SNS上では「不祥事があっても法案は通るのか」といった驚きの声や、「野党の追及が足りないのではないか」という厳しい意見が飛び交っています。しかし、今回の高い成立率は、天皇陛下の即位に伴う一連の儀式を優先するために、あらかじめ提出法案の数を厳選し、審議時間を確保しやすくした結果でもあります。与党側が徹底して「安全運転」の国会運営を心がけたことが、数字として表れた形といえるでしょう。
日米新時代の幕開けと修正に応じた改正会社法
今回の国会で特に注目すべきは、2019年12月04日に承認された「日米貿易協定」および「日米デジタル貿易協定」です。これらは、日米両国の間で関税を削減・撤廃し、電子商取引(ネット通販など)のルールを定める重要な約束事になります。2020年01月01日の発効が予定されており、私たちの生活における輸入食品の価格やデジタルサービスの利便性に大きな影響を与えることになるはずです。
また、企業のルールを定める「会社法」の改正では、異例の展開が見られました。立憲民主党などの野党会派が提案した「修正」に、与党が応じたのです。具体的には、株主が企業に提案を行う権利(株主提案権)に制限を設ける案を削除しました。これは、株主が企業の経営に対して自由に意見を言える環境を維持するための変更であり、多様な視点を取り入れる民主的なプロセスとして評価できる動きだと私は感じています。
積み残された課題とこれからの展望
一方で、唯一の成立見送りとなったのが「外国弁護士特別措置法改正案」です。これは、海外の弁護士が日本国内で行われる「国際仲裁(企業同士のトラブルを裁判所ではなく第三者の専門家が解決する手続き)」を扱いやすくするための法律です。2019年12月03日に衆議院を通過したものの、参議院での日程確保ができず、2020年の通常国会へと持ち越されることになりました。
編集者としての視点で見れば、今回の国会は「守りの強さ」が目立った印象を受けます。不祥事という失点を、法案成立という得点でカバーした形ですが、国民が求めているのは数合わせの議論ではありません。特に日米貿易協定のように、私たちの食卓やビジネスに直結する決定がなされた今、2020年以降の日本がどのような恩恵を受け、あるいは課題に直面するのか、より透明性の高い議論を期待したいところです。
コメント