2019年12月11日、欧州の金融界に一石を投じる驚きの提言が浮上しました。英国投資協会と欧州金融市場協会(AFME)という有力な2団体が、証券取引所の取引時間を現在よりも1時間30分短縮すべきだと主張したのです。現在、ロンドンやフランクフルトなどの主要市場では8時間30分もの長時間取引が行われていますが、これを7時間に凝縮しようという動きです。
SNS上では「ついに金融業界にも人間らしい働き方が!」と歓迎する声が上がる一方で、「取引時間が減るとチャンスを逃すのではないか」といった投資家ならではの不安も入り混じっています。欧州の8時間30分という拘束時間は、米国の6時間30分や日本の5時間(休憩を除く)と比較しても際立って長く、トレーダーたちの労働環境は限界に達しているのかもしれません。
トレーダーの悲鳴と多様な人材の確保
今回の時短論の背景には、深刻なメンタルヘルスの問題が横たわっています。売買を最前線で支えるトレーダーたちは、午前6時30分にはデスクに着き、夜遅くまで神経を削る業務をこなしています。提言書では、この過酷な労働が精神疾患や私生活の破綻を招いている例を挙げ、優秀な人材、特にワークライフバランスを重視する世代が業界を敬遠する原因になっていると警鐘を鳴らしました。
ここでいう「トレーダー」とは、投資家に代わって市場で株式の売買を執行する職種を指しますが、彼らの健康を守ることは市場の安定にも直結します。私は、AIやアルゴリズムによる自動売買が進む現代において、人間が無理に長時間市場に張り付く必要性は薄れていると感じます。むしろ、限られた時間に取引を集中させることで、市場の流動性、つまり「いつでも売り買いができる活発さ」が高まるメリットの方が大きいのではないでしょうか。
日本と欧州で対照的な「市場のあり方」
興味深いことに、2019年12月11日現在の日本は欧州とは真逆の方向を向いています。日本取引所グループ(JPX)の清田瞭CEOは、海外勢の取り込みを狙って取引時間の延長に意欲を見せています。欧州が「質」のために時間を削ろうとする一方で、日本は「利便性」のために時間を延ばそうとする、このコントラストは実に対照的だと言えるでしょう。
ロンドン証券取引所は、シティー(ロンドンの金融街)の職場文化を改善するために時短に前向きな姿勢を見せていますが、ユーロネクストなどは慎重な構えを崩していません。地理的にアジアと米国の架け橋となる欧州にとって、時間は大きな武器でもあり、悩みの種でもあるのです。働き方改革と国際競争力、この二律背反する課題をどう解決するのか、世界中の市場関係者が固唾を飲んで見守っています。
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