楽天・三木谷会長の「迫真」の決断!宅配危機を乗り越える独自配送網と送料一律無料化の波紋

千葉県市川市、首都高速からほど近い巨大な物流施設では、24時間体制で「赤い制服」のスタッフたちが慌ただしく立ち働いています。ここは楽天が借り切る配送拠点の一つで、全国へ向かう10トントラックが絶え間なく出入りする物流の心臓部です。現場でハンドルを握る配達員からは、配送エリアの拡大とともに1日の配達個数が70個を超えることもあるという、多忙な現状が伝わってきます。

楽天のトップである三木谷浩史会長兼社長は、2018年1月26日に開催された出店者向けイベントで、強い危機感を表明しました。宅配大手の配送網が限界を迎えつつある現状を「パンクした」と表現し、自ら物流に挑戦しなければ、店舗も楽天も未来はないと断言したのです。この宣言は、ヤマト運輸の取扱数量制限や、先行するアマゾンの背中を追う焦燥感の表れとも言えるでしょう。

現在、楽天が進めているのは、商品の保管から配送までを自社で一括代行する強力な物流網の整備です。数年間で2000億円という巨額の投資を行い、2021年末には自社拠点での商品取扱比率を50%まで引き上げるという壮大な計画を掲げています。SNS上では「楽天エクスプレスの車をよく見かけるようになった」「配送の安定に期待したい」といった前向きな反応が寄せられています。

スポンサーリンク

送料一律無料化が巻き起こす「EC事業者」の苦悩と期待

しかし、この急ピッチな改革は大きな波紋も呼んでいます。楽天は2019年に入り、2020年春から3,980円以上の購入で送料を一律無料にする方針を打ち出しました。現在は約5万もの出店者が個別に送料を設定していますが、利用者からは「基準がバラバラで分かりにくい」という不満が根強く、プラットフォームとしての利便性向上が急務となっているからです。

出店者側からは、消費者ニーズへの対応に理解を示す声がある一方で、「店側が負担するコストが増え、赤字になりかねない」という切実な悲鳴が上がっています。物流の世界では、こうした「送料無料」という言葉が独り歩きしがちですが、実際には誰かが運賃を負担しており、そのコスト分をどう吸収するかが、EC(電子商取引、ネット通販のこと)事業を営む上で最大の課題となっています。

一方、ライバルの動きも無視できません。ヤフーを傘下に持つZホールディングスは、2019年11月13日にZOZOの買収を完了させました。物流部門で黒字を出すZOZOのノウハウを取り込むことで、グループ全体の配送力を底上げする狙いです。ネット通販市場は、2024年度には27兆円規模にまで膨らむと予測されており、もはや物流を制する者がECを制すると言っても過言ではありません。

私は、三木谷会長の「未来がない」という言葉は、現在の日本が直面する物流維持の限界を突いた、非常に重い言葉だと受け止めています。消費者の「安く早く」という利便性と、配送現場の「持続可能性」、そして店舗の「採算」という三つの要素をどう調和させるのか。楽天が選んだ「自社配送」という険しい道は、日本のEC業界の新たなスタンダードを築く試練になるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました