ビジネスパーソンの皆様にとって、毎月の経費精算は非常に骨の折れる作業ではないでしょうか。2019年12月13日に発表された与党税制改正大綱において、そんな事務負担を劇的に軽減する画期的な方針が打ち出されました。電子マネーやクレジットカードを利用した際の決済データを、そのまま領収書として保存できる仕組みが整えられる見通しです。
これまでは、たとえデジタル決済を行っても、税務申告のために紙の領収書を保管し続けるケースが目立ちました。しかし今回の見直しにより、利用者が内容を改ざんできないクラウドサービス等でデータを管理することを条件に、紙の保存が不要となります。膨大な書類を管理するスペースや、経理担当者の入力作業が大幅に削減されるのは間違いありません。
SNS上では、このニュースに対して「ようやく時代が追いついた」「経費精算のために会社に戻る必要がなくなる」といった期待の声が数多く上がっています。特に外回りの多い営業職の方々にとって、スマートフォン一つで完結するペーパーレス化は、働き方改革を推進する大きな原動力として歓迎されているようです。
電子帳簿保存法の緩和がもたらす業務効率化の真髄
そもそも「電子帳簿保存法」とは、税法で保存が義務付けられている帳簿や書類を、一定の条件のもとでデジタル保存することを認める法律です。これまではデータの改ざんを防ぐために、社内で非常に厳しい内規を設ける必要があり、導入のハードルが高いとされてきました。しかし、2020年秋からの施行を目指す新ルールでは、テクノロジーを味方につけることでその壁を乗り越えます。
具体的には、日付や金額、取引内容といった決済データそのものを証憑(しょうひょう)として扱います。証憑とは、取引の事実を証明する証拠書類を指す専門用語です。外部のセキュリティーが強固なクラウドサービスを利用し、入力の手間を省く「ダイレクト連携」が普及すれば、私たちがわざわざ金額を打ち込んだり、レシートをカメラで撮影したりする手間すら過去のものになるでしょう。
私は、この改正こそが日本のデジタルトランスフォーメーションを加速させる一石になると確信しています。形式的な「紙への出力」という無益な習慣を打破することは、単なるコスト削減に留まりません。従業員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることこそが、少子高齢化社会における企業の競争力を生む鍵となるはずです。
民間企業の挑戦とキャッシュレス社会の加速
この動きに合わせ、民間企業も既に動き出しています。例えば経費精算大手のコンカーは、JR東日本が提供するSuica(スイカ)のサーバーと経理システムを直結させる実証実験を進めています。交通系ICカードの利用履歴がそのまま経費申請に反映されるようになれば、利便性は飛躍的に向上するでしょう。
今回の法改正は、まさにこうした民間企業のイノベーションを後押しする形での決断と言えます。2020年春までに詳細な運用ルールが固まる予定ですが、キャッシュレス決済の普及と相まって、私たちのビジネススタイルは劇的な変貌を遂げるに違いありません。未来の経理業務は、もはや「作業」ではなく「確認」へと進化していくはずです。
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