2019年12月13日、山口フィナンシャルグループ(FG)は、傘下の3銀行が保有する膨大な顧客データをクラウド上へ集約し、高度な分析を可能にする新システムの構築を発表しました。これまで山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行の各行が個別に管理していた情報を、マイクロソフトの提供するクラウドプラットフォーム「Azure(アジュール)」へと統合します。
「Azure」とは、インターネットを経由してサーバーやデータベースなどのITインフラを利用できるサービスのことです。自前で物理的な設備を抱える必要がないため、柔軟なデータ処理が可能になる点が最大の特徴といえるでしょう。この統合データベースの構築により、これまでは見えづらかった顧客一人ひとりのニーズを、より正確に把握できる体制が整ったことになります。
SNS上では、この先進的な取り組みに対して「地銀のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している」「マイクロソフトとの連携は信頼性が高そう」といった期待の声が上がっています。一方で、情報の漏洩やセキュリティ面を不安視する意見も見受けられますが、強固な守りを持つクラウドの活用は、むしろ従来のシステム運用よりも安全性が高いという見方が業界では一般的です。
データ活用が切り拓く地域金融の新たな提案スタイル
今回のシステム構築によって期待されるのは、顧客を絞り込んだ「提案型営業」の深化です。勘定系と呼ばれる預金や融資の基本データと、交渉記録などの情報系データを掛け合わせることで、最適なタイミングで最適な商品を案内することが可能になります。例えば、ライフステージの変化に合わせたローン提案などが、よりスマートに実現するでしょう。
私は、この山口FGの決断を非常に高く評価しています。少子高齢化や低金利政策によって地方銀行の経営環境が厳しさを増す中で、テクノロジーを武器にした効率化と顧客体験の向上は避けて通れない課題です。単なるコスト削減ではなく、顧客への価値提供を最大化させるための投資として、このクラウド集約は非常に大きな意味を持つはずです。
銀行が「事務の拠点」から「コンサルティングの拠点」へと進化するためには、人間による勘や経験だけでなく、客観的なデータに基づいた戦略が必要不可欠でしょう。今回のプロジェクトが成功を収めれば、日本の地方金融機関におけるデジタルトランスフォーメーションのモデルケースとなるに違いありません。今後の動向から目が離せない状況といえます。
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