2019年6月22日時点で、日本の銀行株が歴史的な低迷に直面しています。特に深刻なのが、2019年6月21日、業種別日経平均の銀行が前日比2%安の942.45を記録し、実に2012年10月以来、6年8カ月ぶりの安値をつけました。この劇的な株価下落の背景には、日本銀行(日銀)による強力な金融緩和政策が深く関わっています。金融緩和が強化されることで、市場の金利が急速に低下(これに伴い国債の価格は上昇)しており、銀行が融資で稼ぐ利ざや(お金を貸す際の金利と、預金者に支払う金利の差額)が縮小し、収益がさらに悪化するのではないかという懸念が広がっているのです。
2019年6月21日の東京株式市場では、特に地方銀行株の下げ幅が目立ちました。たとえば、広島銀行株は一時6%安の503円まで売られ、年初来安値を更新する事態になりました。他にも、四国銀行や西日本フィナンシャルホールディングスなど、多くの地方銀行や金融持株会社が年初来の最安値を更新しています。また、メガバンクの一角である三菱UFJフィナンシャル・グループでさえも、一時1%安に沈む場面が見られ、金融セクター全体が強い売り圧力に晒されている状況が浮き彫りになりました。
この銀行株安の決定的な引き金となったのは、日銀の黒田東彦総裁が前日に示した発言です。総裁は、物価の安定目標が損なわれるような状況になれば、「ちゅうちょなく追加緩和を検討する」と表明しました。これを受け、これまで「これ以上、打てる手がない」と見られていた日本でも、さらなるマイナス金利の拡大などを含む金融緩和が現実味を帯びてきた、と市場関係者は受け止めています。実際、市場では5年物国債の利回りがマイナス0.27%という、2016年7月以来の低水準にまで低下し、金利低下圧力が根強いという見方が大勢を占めています。
SNS上でも「銀行株やばい」「これでマイナス金利が深掘りされたら地銀はどうなるんだ」「アベノミクス相場が始まる前の水準に戻るとは…」といった声が多数見受けられ、投資家の間では今後の銀行の経営体力に対する不安が高まっているようです。この株価の水準は、第2次安倍政権発足に伴うアベノミクスが本格始動する前の水準にまで逆戻りしており、金融業界にとって大きな転換期を迎えていると言えるでしょう。
専門家が指摘する「解散価値」割れと今後の展望
現在の銀行株の株価は、PBR(株価純資産倍率)で見ると、企業の解散価値を示すとされる1倍を大きく下回っています。PBRとは、その企業が持つ純資産に対して、株価が何倍になっているかを示す指標であり、一般的に1倍を下回ると「割安である」と判断されることが多いです。この指標から見れば、現在の銀行株は「極めてお買い得」と指摘する声も一部にはあります。
しかしながら、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏のような専門家からは、「当面、金利がどこまで下がるかを探る展開が続きそうであり、銀行株には手が出しづらい」という冷静な見解が示されています。これは、金利低下が続く限り、銀行の収益構造の根本的な改善が見込めず、たとえ株価が割安に見えても、さらなる下落リスクがあるという認識に基づいています。私見では、銀行は地域経済の要であり、低金利が長引くことによる収益悪化は、将来的に地域への融資機能やサービスの維持に悪影響を及ぼす可能性があります。単なる企業収益の問題に留まらず、日本経済全体の活力を削ぐことにつながりかねないため、非常に懸念すべき状況であると言えるでしょう。
結論として、日銀の金融緩和姿勢が変わらない限り、金利低下圧力は継続する可能性が高く、銀行株はしばらくの間、安値を模索する厳しい展開が続く可能性が高いと予想されます。投資家は、銀行の財務健全性や、低金利環境下での新たな収益源を確保するための戦略に、より一層注目していく必要がありそうです。
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