2019年09月28日、東京株式市場では日経平均株価が配当権利落ちの影響もあり、年初来高値の更新が足踏みする状況が続いています。9月に見せた力強い上昇の反動を警戒し、「そろそろ潮時では」と慎重になる声も少なくありません。しかし、周囲が弱気になればなるほど、不敵な笑みを浮かべて好機を伺うプロたちがいます。それが「コントラリアン(逆張り投資家)」と呼ばれる、市場の流行に流されず独自の視点を持つ運用者たちです。
世界的に著名な英運用会社、オービス・インベストメントの日本法人社長・時国司氏は、現在の市場環境において日本株の組み入れ比率を市場平均より高く設定していると明かしました。2019年08月末時点のデータによれば、彼らのグローバル戦略における日本株比率は14%に達しています。これは世界的な株価指標である「MSCIワールド」の日本株比率を約6ポイントも上回る「オーバーウエート(強気)」な姿勢を示しているのです。
ここで専門用語を解説しましょう。「オーバーウエート」とは、特定の資産を市場平均の割合よりも多く保有することを指します。オービス社の過去の動きを振り返ると、2008年12月末のリーマン・ショック直後には日本株比率を30%まで引き上げ、逆にアベノミクスで沸いた2015年12月末には6%まで下げています。つまり、彼らは「みんなが絶望している時に買い、浮かれている時に売る」という投資の鉄則を、驚くほどストイックに貫いている集団なのです。
半数近くが「解散価値」割れ?プロが注目する具体的な割安銘柄
2019年に入り、彼らが再び日本株の保有を増やしている理由は明確です。時国氏は「日本には世界水準を超える上昇が期待できる、隠れたお宝銘柄が眠っている」と断言します。具体的には住友商事やコスモス薬品、三井住友フィナンシャルグループといった、PER(株価収益率)などの指標面で割安感がある銘柄に注目しています。PERとは株価が1株当たりの利益の何倍かを示す指標で、この数値が低いほど利益に対して株価が割安であると判断されます。
さらに驚くべきは、東証1部上場企業の約半数が「PBR(株価純資産倍率)」1倍を割り込んでいるという事実です。PBR1倍割れとは、会社を今すぐ解散して資産を分けた方が、株価の総額より高いという異常な状態を指します。また、信越化学工業やセブン&アイ・ホールディングスのように、今期の増益が見込まれながらも、過去5年間の平均的な評価を大きく下回っている銘柄が約500社も存在しており、これが逆張り派の食指を動かしています。
SNSやネット掲示板では「増税前で景気が冷え込むのでは」という不安の声が目立ちますが、海外の機関投資家の中には、仏ソシエテ・ジェネラルのように2019年09月12日付のリポートで日本株の推奨比率を倍増させた例もあります。彼らは消費増税の影響は限定的であり、むしろイベント通過後の株価上昇を予測しています。プロの視点は、目先のニュースに一喜一憂する個人投資家とは一線を画していると言えるでしょう。
投資の世界では「人の行く裏に道あり花の山」という格言があります。2019年10月の増税や米中貿易摩擦など不透明な要素は多いものの、それを理由に優良銘柄が投げ売りされている今は、長期投資家にとって絶好の仕込み時かもしれません。周囲の悲観論に同調して大切な資産を手放す前に、まずは企業の「本当の価値」を見極める冷静な目を持つことが、将来の大きなリターンに繋がるはずだと私は考えます。
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