スパコン「富岳」が出荷開始!計算速度よりも「使い勝手」で世界をリードする富士通の新たな挑戦

2019年12月02日、石川県かほく市の富士通ITプロダクツから、次世代スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」がついに産声を上げました。かつて計算速度で世界一に輝いた「京」の後継機として、理化学研究所と共同開発されたこの巨大な計算機は、トラックに揺られて神戸市の拠点へと順次運び出されています。

今回の出荷はプロジェクトの大きな節目であり、今後400台以上の計算機を連結させることで、2021年から2022年頃の本格稼働を目指しています。SNS上では「ついに動き出したか」「日本の技術力の結晶に期待したい」といった熱いエールが送られる一方で、かつての「2位ではだめなんですか」という議論を思い出し、性能を気にする声も散見されます。

しかし、富岳が目指している地平は、単純な数字の競い合いではありません。富士通の時田隆仁社長が「幅広いビジネスに貢献する」と語る通り、このマシンは私たちの生活をより豊かに、そして安全にするための「実用性」に特化した設計がなされているのです。

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「ガラパゴス」からの脱却とユーザーフレンドリーな設計

先代の「京」は、独自の技術にこだわりすぎた結果、外部ソフトとの互換性が乏しく、利用者が限られてしまうという「ガラパゴス化」の課題を抱えていました。その反省を活かし、富岳では心臓部であるCPUに、世界中で普及している英アーム社の設計を採用しています。

さらに、基本ソフトであるOSには、多くの企業が導入している「レッドハット版リナックス」を選びました。これにより、特別な知識がなくても既存のソフトを動かしやすくなり、開発のハードルが劇的に下がっています。まさに、誰もが使いこなせる「身近なスパコン」へと進化したと言えるでしょう。

AI(人工知能)の学習機能を強化している点も見逃せません。高度なプログラミングに習熟していなくても、短時間でAIの学習を終えられる仕組みが整っています。創薬や気象予測、新素材の開発など、これまで専門家だけが扱っていた領域が、よりスピーディーにビジネスへと直結するはずです。

世界一の省エネ性能が未来を切り拓く

富岳のもう一つの武器は、圧倒的な「環境性能」です。スパコンは膨大な電力を消費するため、いかに効率よく動かすかが世界的な課題となっています。富岳の試作機は、すでに省エネ性能を競うランキングで世界1位を獲得しており、その実力は折り紙付きです。

消費電力を京の約3倍に抑えつつ、計算性能を最大100倍に引き上げるという野心的な目標は、持続可能な社会を目指す現代において極めて価値が高いと感じます。私は、この「賢く、優しく、力強い」設計思想こそが、日本の製造業が世界で再び輝くためのヒントになるのではないかと確信しています。

ライバルの米IBMなどは、すでに金融機関と連携して具体的な実績を上げ始めています。富士通がこの「使い勝手の良さ」を武器に、どれだけ多くの企業や研究者を巻き込めるかが、プロジェクト成功の鍵を握るでしょう。2019年12月の今、日本の新たな象徴が世界へ羽ばたこうとしています。

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