群馬県安中市の歴史を象徴するJR信越本線の横川駅から軽井沢駅間は、かつて「碓氷峠」という鉄道の難所として知られていました。1997年9月30日に惜しまれつつ廃線となったこの聖地を歩くイベント「廃線ウォーク」が、今大きな進化を遂げようとしています。
安中市観光機構は、2020年夏の本格導入を目指して、線路上をスムーズに走行する「レールカート」の活用を決定しました。この組織は、地域と協調して観光地としての魅力を高める「日本版DMO」として、これまでも多くのファンをこの地に呼び寄せてきた実績があります。
2018年秋にスタートした「廃線ウォーク」は、これまでに1,000人を超える参加者が詰めかけるほどの人気を博してきました。しかし、急勾配が続く長距離コースは、体力に自信のない高齢者や小さなお子様連れのご家族にはハードルが高いという課題も抱えていたのです。
SNS上では「景色は最高だけど足がパンパンになった」「興味はあるけれど体力が心配で踏み出せない」といった声が散見されていました。こうした期待に応える形で、誰でも気軽に絶景を楽しめる移動手段として、電動式のレールカートが満を持して登場することになります。
産学官連携で挑む!急勾配を克服する電動モビリティの力
今回のプロジェクトを支えるのは、群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センターと、桐生市を拠点に電気自動車(EV)開発を手掛ける「シンクトゥギャザー」という強力な布陣です。地元企業の知恵と大学の最新技術が融合し、4人乗りの電動カートが誕生しました。
特筆すべきは、最大66.7パーミル(1,000メートル進む間に約67メートル登る計算)という日本屈指の急勾配をものともしないパワフルな登坂能力です。2019年11月29日に実施された実証実験では、急な下り坂における制動性能も厳格にチェックされ、その安全性が証明されました。
今後はカートの外装デザインを地元の学校から募集するなど、地域一体となった盛り上げが期待されています。編集者の私としても、最先端の「モビリティ」技術が歴史ある「廃線」に新たな命を吹き込むこの試みは、地方創生の理想的なモデルケースだと確信しています。
2020年の東京五輪・パラリンピック開催時期をひとつの節目として、国内外から訪れる観光客を温かく迎える準備が着々と進んでいます。安中市観光機構の武井宏理事長は、安全性のさらなる追求を約束しており、参加者の笑顔が溢れる光景が目に浮かぶようです。
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