長野県が世界に誇るパウダースノーの聖地、白馬エリアがさらなる進化を遂げようとしています。2019年12月06日、白馬村、小谷村、大町市にまたがる10のスキー場を統括する「ハクババレーツーリズム」が、東京都内で今後の事業戦略を発表しました。彼らが掲げたのは、5年後に外国人来場者数を50万人まで引き上げるという、極めて野心的でワクワクするようなロードマップです。
2018年から2019年にかけてのシーズンでは、すでに約36万7000人の外国人観光客がこの地を訪れ、極上の雪質を楽しんでいます。続く今シーズンは前年比7%増となる39万3000人を、そして2020年から2021年のシーズンには大台の40万人突破を射程圏内に捉えています。この勢いは凄まじく、SNS上でも「白馬の雪質は世界一」「村全体が国際色豊かで活気がある」といった絶賛の声が止みません。
DMOが主導する「ハクババレー」ブランドの統一とデジタル化
この壮大な目標を支えるのが、広域型の観光地経営組織である「DMO」の存在です。DMOとは、地域の観光資源をデータに基づいて戦略的に管理・運営する組織のことで、いわば観光地の舵取り役を指します。ハクババレーツーリズムは、3市村の行政や索道事業者(リフト・ゴンドラの運営会社)を一つにまとめ、地域全体を一つの巨大なリゾートとしてブランディングする役割を担っています。
具体的な施策として、まずは情報の窓口を一元化するポータルサイトが新設されます。これまでは各スキー場が個別に発信していた情報を集約し、多言語でのネット予約システムを充実させることで、海外からのアクセス障壁を一気に取り払う構えです。さらに、現代の旅行者には欠かせない無料Wi-Fiの整備や、スマホ一つで決済が完了するキャッシュレス化の普及も加速させていく計画となっています。
安全と快適さを両立する「世界基準」のルール作り
スキー愛好家の間で注目されているのが、バックカントリースキーに関するルールの統一です。バックカントリーとは、整備されたコース外の自然な斜面を滑るスポーツのことですが、危険も伴います。そこで、10のスキー場すべてでヘルメットや「ビーコン」(雪崩に遭遇した際に位置を知らせる電波発信機)の装備基準を共通化し、安全管理の質を世界最高水準へと高める取り組みが進められます。
編集者の視点から見れば、この「連携」こそが白馬を世界最強のブランドにする鍵だと確信しています。これまで日本のスキー場は個別の集客に終始しがちでしたが、ハクババレーが示した「面」での戦略は、アルプスの巨大リゾートに匹敵する魅力を生み出すでしょう。安全基準の統一や決済インフラの整備は、日本人観光客にとっても恩恵が大きく、地域全体のホスピタリティが底上げされることは間違いありません。
「集客」と「接客」という2つの専門委員会を設け、現場レベルでサービスの質を磨き上げる姿勢には、おもてなしの真髄が感じられます。単なるブームで終わらせず、持続可能な国際リゾートとして根付かせようとする彼らの情熱は、日本の観光業の未来を明るく照らしています。冬の白馬が、世界中のスキーヤーを虜にする「聖地」として定着する日は、すぐそこまで来ているようです。
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