タイの街角で愛される「象」のマークでお馴染みのチャーンビール。その製造元である飲料最大手、タイ・ビバレッジ(タイビバ)が、ビール部門をシンガポール証券取引所へ上場させる検討を始めたようです。2019年12月16日、このニュースが駆け巡ると、東南アジアのビジネスシーンに大きな衝撃が走りました。もし実現すれば、その調達資金によって域内での市場支配力がさらに強まるのは間違いありません。
今回の動きは、米ブルームバーグ通信が「2020年にも上場か」と報じたことを受けて表面化したものです。タイビバ側も声明を出し、外部アドバイザーと連携しながら戦略的な選択肢を評価している事実を認めました。投資家の間では、これが単なる資金集めではなく、アジア全域を網羅する飲料帝国を築くための布石ではないかと期待と注目が集まっています。
ネット上やSNSでは「ついにタイの巨人が動いた」「シンガポール市場が活性化しそう」といった驚きの声が上がっています。また、普段チャーンビールを愛飲しているファンからは、ブランドの国際化を喜ぶ意見も見られました。投資家たちは、約100億ドル(約1兆900億円)とも噂されるIPOの規模感に、東南アジア最大級の上場案件になるのではないかと色めき立っている状況です。
東南アジアのビール市場を席巻する圧倒的な成長戦略
IPO(新規株式公開)とは、未上場の企業が株式を市場に放出し、誰でも売買できるようにすることです。これにより、企業は膨大な事業資金を直接調達できるようになります。タイビバの背後には、タイ有数の富豪であるチャロン・シリワタナパクディー会長率いる新興財閥「TCCグループ」の存在があり、その潤沢な資金力を背景に、これまでも積極的な買収攻勢を仕掛けてきました。
特に注目すべきは、2017年にベトナムの国営ビール大手サベコを傘下に収めたことです。サベコは「333(バーバーバー)」という有名なブランドを持ち、若年層が多く人口も拡大しているベトナム市場で圧倒的なシェアを誇ります。2018年9月期のタイビバの売上高は、前の期から22%も増加し、そのうちの4割以上をビール部門が稼ぎ出すという、非常に勢いのある経営状態にあるのです。
個人的な見解としては、今回の分社化と上場検討は、変化の激しいアジア市場で生き残るための「守り」ではなく、さらなる拡大を狙う「攻め」の姿勢だと感じます。タイとベトナムという二大拠点を軸に、調達した資金でカンボジアやミャンマーなど、未開拓の近隣諸国へ一気に浸透を図るのでしょう。ビールという身近な飲料を通じて、タイのプレゼンスが世界的に高まる瞬間を目撃しているのかもしれません。
現在、タイビバ側は「議論はまだ初期段階である」として慎重な姿勢を崩していません。具体的なスケジュールが明かされるのは少し先になりそうですが、東南アジアの経済地図を塗り替える可能性を秘めたこのプロジェクトから、目が離せません。ビールを片手に、次なる一手を楽しみに待ちたいところですね。
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