東北地方の医療現場において、地方銀行が単なる融資の枠を超え、経営の「パートナー」として存在感を高めています。2019年12月17日現在、地域の病院や診療所が抱える課題は深刻化しており、それに応えるべく地銀各行は専門チームによるコンサルティング事業を加速させているのです。
特に注目されているのが、病院経営の健全化や新規開業のバックアップ、そして避けては通れない「事業承継」への支援です。事業承継とは、現在の経営者から次世代へ事業を引き継ぐことを指しますが、医師免許が必要という特殊な事情から、一般的な企業よりもマッチングが非常に困難だと言えるでしょう。
SNS上では「地元の病院がなくなるのは困るから、銀行が間に入ってくれるのは心強い」「経営のプロが病院を支える時代になったんだ」といった、地方特有の切実な声と期待が混じり合っています。地域の健康を守るインフラを維持するため、金融機関の果たす役割はかつてないほど大きくなっています。
ベテラン医師の引退危機を救う「M&A」の底力
厚生労働省のデータによれば、診療所に勤務する医師の平均年齢は59.6歳に達しており、実に2割が70歳を超えているという現実があります。2018年春には、地域医療への責任感から廃業できずに悩んでいた高齢の医師が、地銀の仲介によって無事に若手医師へとバトンを繋いだ成功事例も生まれました。
こうしたケースで活用されるのが「M&A(合併・買収)」の手法です。単なる売却ではなく、医療ネットワークを駆使して、志のある後継者を探し出すプロセスが不可欠となります。銀行が医療機器メーカーや税理士とタッグを組み、専門知識を駆使して「地域に医師がいなくなる」という最悪の事態を防いでいるのです。
私は、この地銀による医療支援こそが、地方創生の「最後の砦」になると確信しています。どれだけ街を整備しても、安心して医療を受けられる体制がなければ、人々は住み続けることができません。医療機関を経営面から支えることは、結果として地域住民の命と生活を守ることに直結するからです。
コスト削減だけではない「質」を高める経営改善
これまでの金融機関による経営指導は、支出を削る「コストカット」が中心になりがちでした。しかし、現場の医療従事者からすれば、単なる削減の押し付けはサービスの質を低下させかねません。そこで重要になるのが、働く人々のモチベーションを高め、医療の質を向上させる前向きな提案です。
例えば、岩手県に拠点を置く北日本銀行では、行員の専門スキルを可視化する独自の研修制度を導入しています。これにより、2019年時点では岩手県内の新規開業の3割以上に携わるなど、驚異的な実績を積み上げてきました。銀行が医療の現場に深く入り込み、信頼関係を築いている証拠と言えるでしょう。
2018年には全国で医療機関の倒産が急増し、国による公立病院の再編議論も本格化しています。こうした激動の時代において、地銀がどれだけ「本気」で医療ビジネスを支えられるかが、地域の未来を左右するでしょう。金融と医療が手を取り合う姿は、地方の新しい希望の形として注目され続けています。
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