富山県や石川県を中心に親しまれている食品スーパー「大阪屋ショップ」が、驚異的なキャッシュレス決済比率を記録しています。2019年12月18日現在の発表によると、12月上旬の決済比率はなんと64%に到達しました。日本全体の平均が2割程度とされる中で、この数字は突出しています。ネット上でも「地方スーパーなのに進んでいる」「小銭を出す手間がなくて助かる」といった驚きと好意的な声が次々と上がっており、地域の決済インフラを劇的に変えつつあるようです。
好調の背景には、2019年10月の消費税増税に合わせて政府が導入した「キャッシュレス・ポイント還元事業」があります。大阪屋ショップは、電子マネー「楽天Edy」機能を搭載したカードの利用者を対象に、5%のポイント還元を実施しています。増税前の2019年9月時点でも47%と高い水準でしたが、還元制度の開始が起爆剤となり、さらに多くのユーザーを惹きつけました。ポイントが他店でも使える利便性が、顧客の心を掴んでいるのでしょう。
レジ効率化がもたらす「待たない」買い物体験
キャッシュレス化の波は、私たちの買い物環境をより快適なものへと進化させています。平邑秀樹社長は、決済スピードの向上によりレジの混雑が緩和されたことを強調しています。驚くべきことに、これまで7人で対応していたレジ業務を6人で回せるようになった店舗も現れました。従来推奨されていた、店員がスキャンして客が精算機で支払う「セミセルフレジ」の追加導入を見送るほど、カードをかざすだけの非接触決済には絶大な時短効果があるのです。
また、今回の改革で特筆すべきは、自社カードから楽天Edyへ切り替えたことで実現した「データ分析」の高度化です。これまでは見えにくかった客層ごとの購買傾向が数値化され、どの年齢層が何を求めているのかが鮮明に把握できるようになりました。これにより、現場の勘に頼らない「売れる売り場づくり」が可能となります。単なる決済手段の変更にとどまらず、最先端のマーケティング手法を取り入れた経営判断は、非常に賢明な戦略といえるでしょう。
地域密着の質を高める、大阪屋ショップの独自路線
2020年6月に予定されているポイント還元制度の終了について、平邑社長は冷静な分析を見せています。直前の駆け込み需要は予想されるものの、スーパーの主軸である生鮮食品は買い溜めが効かないため、急激な反動減はないとの見通しです。昨今はドラッグストアとの競合も激化していますが、新鮮な食材を求める顧客層を大切にする同社の姿勢に揺らぎはありません。規模の拡大を急がず、一店一店の質を磨き抜くという戦略には、強い信念を感じます。
大阪屋ショップは、売上規模が大きくありながら資本金を抑えているため、政府の補助金対象となる「中小企業」枠を維持しています。これにより、自社負担で還元を行う大手チェーンよりも収益面で優位に立っているのが現状です。この浮いた原資を、次なる店舗投資やさらなる顧客サービスの向上へどう繋げていくのか。データに基づいた次世代型のスーパーマーケットとして、北陸の地から業界のスタンダードを塗り替えていく姿を、今後も注視していきたいところです。
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