近年の日本列島では、これまでの常識を覆すような豪雨災害が頻発しており、国民一人ひとりの防災意識がかつてないほど問われています。こうした危機的な状況を受け、政府の中央防災会議は2019年12月18日、住民避難の在り方を根本から見直すための有識者作業部会を始動させました。
今回の議論の焦点は、自力で逃げることが難しい「災害時無援護者(高齢者や障害をお持ちの方々)」への支援体制をどう構築するかという点にあります。特に2019年から運用が始まった、危険度を5段階で示す「警戒レベル」が、現場で本当に正しく伝わっているのかという課題は、私たちの命に直結する極めて重要なテーマと言えるでしょう。
東大大学院の片田敏孝特任教授は、初会合の席で「行政は寝たきりの方々の命に対して責任を持つべきだ」と強い語調で訴えました。ネット上でも「レベル4と言われてもピンとこない」「隣のおじいちゃんを誰が助けるのか決まっていない」といった不安の声が溢れており、公的な支援の枠組みを求める声が急速に高まっています。
現在、避難の際に手助けが必要な方のリストは多くの自治体で作られていますが、具体的に「誰が・どこへ・どうやって」運ぶかを記した個別避難計画の策定率は、2019年時点ではわずか1割強にとどまっています。この低い数字は、有事の際に見過ごせないリスクとして、私たちに重くのしかかっているのが現状です。
福祉と防災の連携が鍵を握る未来
会議では、ケアマネジャーなどが作成する「ケアプラン(介護サービスの利用計画)」に防災の視点を組み込み、それを介護報酬に反映させるという画期的な案も浮上しました。日頃から本人の心身状況を把握している福祉のプロが避難に関わることは、非常に合理的で安心感のある仕組みだと私は確信しています。
しかし、多忙を極める福祉現場からは「これ以上の負担増は現実的なのか」という切実な懸念も聞こえてきます。防災を「誰か」に押し付けるのではなく、地域コミュニティ全体で支えるシステム作りが欠かせません。この議論は、単なるルール作りを超え、日本の共助の形を再定義する試みになるはずです。
コメント