AIが職人の「目」を再現?敷島製パン・盛田社長が語る、国産小麦20%への挑戦と次世代の工場改革

中部地方を代表する食文化の担い手であり、製パン業界で国内第2位のシェアを誇る敷島製パン。2019年12月21日現在、消費税増税に伴う軽減税率の適用もあり、パンの需要は堅調に推移しています。しかし、盛田淳夫社長は現状に甘んじることなく、人口減少という抗えない未来を見据えていました。

市場の規模は、言わば「胃袋の数」に直結します。単身世帯の増加といったライフスタイルの変化により、従来の1斤サイズではニーズを満たせなくなっているのが現状です。同社では、ハーフサイズのラインナップを拡充するなど、時代の変化を捉えたきめ細かな商品展開で、需要の取りこぼしを防ぐ戦略を打ち出しています。

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AIとディープラーニングが変える製造現場の未来

深刻化する労働力不足への切り札として、同社が注力するのが工場の「省人化」です。驚くべきは、これまで熟練の職人が経験と勘で判断していた「パンの焼き色」の判定に、人工知能(AI)を導入する取り組みです。スタートアップ企業と連携し、製造ラインの自動化に向けた研究が着々と進められています。

ここで活用される「ディープラーニング(深層学習)」とは、コンピューターが大量のデータから特徴を自動で学び取り、人間のような判断力を身につける技術を指します。最新のセンサーとこの技術を組み合わせることで、ムラのない高品質なパンを安定して焼き上げることが可能になり、工場の効率化は飛躍的に高まるでしょう。

SNS上では、伝統的な製パン技術と最先端テクノロジーの融合に対し、「老舗企業がここまで進化しているとは驚きだ」「AIが焼いたパンを早く食べてみたい」といった期待の声が数多く寄せられています。職人技をデジタルで継承するこの試みは、製造業全体におけるDXの先駆的なモデルケースと言えます。

サプライチェーン全体で挑む「食品ロス」の壁

利益確保の鍵となる「食品ロス削減」について、盛田社長は一企業だけでは限界があると指摘します。特にコンビニエンスストアへの納品では、欠品を恐れるあまり、需要予測に基づいて多めに生産せざるを得ない現状があります。前日の夕方に確定する注文時間をより早めることができれば、廃棄量は劇的に減らせるはずです。

しかし、販売現場でも人手不足や24時間営業の是非といった課題を抱えており、仕組みの変更は容易ではありません。それでも同社は、供給網(サプライチェーン)全体での最適化を粘り強く働きかけています。私は、企業の利益を超えたこの対話こそが、持続可能な社会を実現するための不可欠なプロセスであると確信しています。

国産小麦「ゆめちから」が拓くブランド戦略

商品力の強化において、敷島製パンが旗印に掲げるのが「国産小麦の活用」です。特にもっちりとした力強い食感が魅力のパン用小麦「ゆめちから」に注力しており、2018年に11%だった使用比率を、2030年までに20%へと引き上げる高い目標を掲げています。これは、単なる差別化ではなく食料自給率への貢献も意味します。

また、環境問題への対応として、プラスチック包装の軽量化など地道な改善も進めています。生分解性プラスチックの導入にはコスト面での課題が残りますが、環境負荷の低減はもはや避けて通れない企業の責務です。技術革新とコスト管理を両立させ、いかに「筋肉質な経営」を構築できるかが、今後の勝負所となるでしょう。

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