新潟県内の地域経済を支えるパートナーである9つの信用金庫から、2019年3月期の決算報告が届けられました。今回の結果を紐解くと、地方金融機関が直面している厳しい現実が浮き彫りになっています。本業の収益力を示す「実質業務純益」において、実に6つの信金が前期を下回る結果となったのです。地域に根差した金融システムが、今まさに大きな岐路に立たされていると言えるでしょう。
ここで「実質業務純益」という言葉について少し解説します。これは、銀行や信金が預金を集めて貸し出しを行うといった「本業」でどれだけ稼いだかを表す指標です。一般企業の営業利益に近いものだとイメージしてください。この数字が悪化しているということは、信金が本来の役割である資金融通のビジネスで利益を出しにくくなっている現状を物語っています。SNS上でも「地元企業への影響が心配」「金利が低すぎて経営が大変そうだ」といった不安の声が上がっています。
マイナス金利の重圧と2つの信金が見舞われた苦境
この収益悪化の背景には、日本銀行による「マイナス金利政策」の長期化があります。これは民間銀行が日銀に預けるお金の一部にマイナスの金利を課す仕組みで、世の中の金利を押し下げる効果がありますが、金融機関にとっては貸出金利息による収入が減るという副作用をもたらします。実際に7つの信金で貸出金残高は増えているものの、利息収入は伸び悩んでおり、まさに薄利多売の状況に追い込まれているのが実情ではないでしょうか。
特に衝撃を持って受け止められたのは、加茂信用金庫と新井信用金庫の2庫が、2019年3月期において7年ぶりの最終赤字に転落したというニュースです。加茂市を拠点とする加茂信金では、投資信託の繰り上げ償還に伴う損失計上が響き、1億3500万円の最終赤字となりました。予期せぬ運用環境の変化が、地域金融の屋台骨を揺さぶる結果となったことは非常に残念でなりません。資産運用の難しさを改めて痛感させられる出来事です。
一方、妙高市の新井信金は、地元の内装工事業者の倒産などが重なったことで、4億200万円という大きな赤字を計上しています。信金にとって取引先の倒産は、貸したお金が戻らなくなる「貸倒損失」に直結します。地域密着型ゆえに、地元の景気変動をダイレクトに受けてしまうリスクが表面化した形となりました。しかし、こうした時こそ信金が踏ん張り、地域を支え続ける姿勢が問われていると感じます。
三条信金に見る「攻めの姿勢」と不透明な将来予測
暗いニュースばかりではありません。県内最大規模を誇る三条信用金庫は、実質業務純益で10%増の21億円を確保しました。貸出金利息の減収幅を縮小させるなど、効率的な経営と徹底した経費削減が功を奏したようです。私個人としては、ただ縮小均衡を目指すのではなく、三条信金のように規模のメリットを活かしつつ、地域企業の付加価値を高めるコンサルティング機能を強化することが、今後の生き残りへの鍵になると確信しています。
2019年7月04日現在、次期である2020年3月期の見通しについて、多くの信金が「不明」としています。特殊要因を抱えた加茂や新井は改善を見込んでいますが、依然として超低金利の出口は見えません。金融機関が稼げなくなれば、将来的に地域への資金供給が滞るリスクもあります。今後は合併や提携といった業界再編の動きも加速するかもしれませんが、まずは地元住民がこうした現状に関心を持ち、地域金融を守る視点を持つことが大切でしょう。
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