自動車業界が「100年に一度の変革期」という荒波に揉まれる中、トランスミッションやカーナビゲーションの世界シェアを誇るアイシン・エィ・ダブリュが、2020年1月1日付で実施する大規模な組織改編と人事異動を発表しました。今回の動向は単なる役職の入れ替えに留まらず、激動するCASE時代を勝ち抜くための布陣であると予感させます。SNS上でも「これほど広範囲な異動は攻めの姿勢の表れだ」「技術部門のシャッフルが興味深い」と、業界関係者を中心に大きな関心が寄せられています。
今回の人事の目玉の一つは、営業戦略の司令塔となる「営業戦略室長」に、常務役員であり営業本部副本部長を務める清水隆之氏が就任する点でしょう。市場のニーズが複雑化する中で、より緻密なマーケティングと迅速な意思決定を狙う意図が透けて見えます。さらに、山田邦博氏が電子技術本部長を務めながら、調達、製造、生産技術の3つの本部で副本部長を兼務するという異例の体制が敷かれました。これは、電子制御とハードウェアの融合を加速させる「垂直統合」への強い意志を感じさせます。
技術革新と生産体制を支える精鋭たちの配置転換
技術開発部門では、将来の自動運転や電動化を見据えた「先行開発」に牛田孝一氏が抜擢されたほか、「シェアリングソリューション」には石橋登氏が起用されました。ここで言う「シェアリングソリューション」とは、車を所有するのではなく共有する新しい移動サービスを支えるIT基盤の開発を指します。また、ソフトウェア開発を担う第1および第2ソフト開発部門にも新たなリーダーが配属されました。車が「走るコンピューター」へと進化する中で、ソフト領域の強化は急務であると言えるでしょう。
製造現場においても、現場の筋肉質化を狙う「製造体質強化推進室長」に長谷部正史氏が就任し、各工場の管理職も一新されます。特筆すべきは、城山工場の工場長に上別府伸一氏、第2工場の工場長に和田英之氏がそれぞれ着任することです。生産の最前線で経験を積んだベテランを適所に配置することで、高い品質を維持しながら、次世代製品への生産ラインの切り替えをスムーズに進める狙いがあるはずです。品質保証の要となる設計品質部門には大久保寛俊氏が就任し、信頼性の向上を図ります。
編集者の視点から見れば、今回の人事はアイシン・エィ・ダブリュが単なる部品メーカーから、システムプロバイダーへと脱皮しようとする決意の表れに見えます。特に電子技術と製造現場の連携を深める山田氏の役割は、今後の製品力に直結する重要な鍵となるはずです。伝統あるモノづくりの精神と、最先端のソフト開発力が融合することで、どのような驚きを私たちに届けてくれるのでしょうか。2020年1月1日から始動するこの新体制が、日本の自動車産業に新たな風を吹き込むことを期待して止みません。
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