東北地方の豊かな自然や伝統文化を求めて訪れる海外観光客の間で、今、ある移動手段が劇的な進化を遂げて注目を集めています。2019年12月24日、東北のバス事業者17社で構成される協議会が発表したデータによると、訪日外国人向けの高速バス乗り放題パス「TOHOKU HIGHWAY BUS TICKET」の利用者が、前年度の約7倍という驚異的な伸びを記録していることが分かりました。
この急成長の背景には、徹底したユーザー目線のサービス改善があります。これまでは4日間以上の長期設定が主流でしたが、実際の旅行者の宿泊プランを細かく分析し、2〜3日間の短期間から利用できる手軽な料金体系へと刷新されました。価格も6000円から8000円程度に抑えられ、よりスマートに東北の各都市を巡ることが可能になったのです。
SNS上では、特に台湾の旅行者を中心に「広大な東北を効率よく移動できる神チケット」「新幹線では行けない秘境にも手が届く」といったポジティブな反応が広がっています。これに応えるように、対象路線も前年から7割増となる101路線まで拡大されました。さらに高速バスだけでなく、仙台と秋保温泉を結ぶような生活路線バスも一部追加されるなど、まさに「痒いところに手が届く」ラインナップとなっています。
キツネ村の冬毛に会いたい!体験型観光を支える「2次交通」の底力
東北観光を盛り上げる上で欠かせないのが、主要な駅や空港から観光地を直接結ぶ「2次交通」の充実です。例えば、ジェイアールバス東北が運行する「宮城蔵王キツネ村」への定期観光バスは、乗車率が9割を超えるほどの人気を博しています。利用者の7割以上が外国人観光客で占められており、2020年1月からは冬の白い毛並みのキツネを楽しめる冬季運行も決定しました。
単なる移動手段に留まらず、酪農センターでの食事や名湯・遠刈田温泉での散策をセットにするなど、地域経済への波及効果を狙った工夫も随所に見られます。編集者としての視点では、単に「運ぶ」だけでなく「過ごし方」を提案するこうした姿勢こそが、リピーターを生む鍵になると確信しています。言葉の壁を越える5言語対応のパンフレット配布など、地道なホスピタリティの積み重ねが実を結びつつあるのでしょう。
今後は、大きな荷物を気にせず手ぶらで観光できるスーツケース配送サービスや、お土産の割引特典といった付加価値の提供も検討されています。福島の桜から青森の雪景色まで、季節の移ろいを追いかける広域観光の足として、バスの役割はますます重要になるはずです。東北が「世界のTOHOKU」として認知される日は、すぐそこまで来ているのではないでしょうか。
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