東京・渋谷区の閑静な住宅街にそびえる、国内最大級のイスラム教礼拝所「東京ジャーミイ・トルコ文化センター」。その美しい建物の中に、2019年12月25日までに新たな文化の発信拠点となる書店が誕生しました。SNS上では「まるでお城のような異空間で本を選べるなんて素敵」「ハラルショップに続いて本屋までできるなんて、まるで海外旅行気分」と、早くも話題を呼んでいます。
一般的に「モスク」とは、イスラム教徒の方々が礼拝を行う神聖な場所を指しますが、実はイスラム圏において、モスクは単なる宗教施設ではありません。その周辺には学校や市場、そして書店が立ち並び、人々の生活と密接に関わるコミュニティの中心地として機能しています。今回の書店オープンは、そんな伝統的なイスラム文化のあり方を、ここ東京の地で再現しようとする非常に意義深い試みだといえるでしょう。
多種多様な「知」が詰まった本棚の魅力
店内に一歩足を踏み入れると、そこには宗教書という枠を超えた、イスラム圏の豊かな文化が凝縮されています。歴史書から科学、そして最近日本でも注目されている「ハラル料理」のレシピ本まで、そのジャンルは驚くほど多彩です。ハラルとは、イスラムの戒律において「許されたもの」を意味し、食品であれば適切な手順で処理された肉やアルコールを含まない食材などを指しますが、そうしたライフスタイル全般を深く知るきっかけが得られます。
2019年8月から準備が進められてきた棚には、すでに800種類以上の書籍が並び、今後は1500種類規模まで拡大される予定だそうです。私自身、こうした「特定の文化を多角的に学べる場」が都心にできたことは、多様性を尊重する現代社会において非常に素晴らしい一歩だと感じます。教科書やニュースだけでは見えてこない、人々の等身大の暮らしや智慧に触れることができるからです。
さらに、日本のムスリム家族が直面している「日本語での教育教材が少ない」という切実な悩みにも、この書店は寄り添っています。現在は、洋書を翻訳してオリジナルの絵本を作成するプロジェクトも進行中とのことです。子どもたちが自らのルーツを母国語で学べる環境作りは、多文化共生の観点からも応援したくなる取り組みですね。訪れた人々が新しい知識や出会いという「糧」を得て、心が潤うまさにオアシスのような場所になることを期待してやみません。
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